YasujiOshiba

パシフィック・リム: 暗黒の大陸 シーズン1のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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ネトフリ。大袈裟にいえば、ポスト・アポカリプスのビルドゥングスロマン。

もちろんイエーガーがいなくては始まらない。このロボットに搭載されているAIが、なんだかピノキオのジミニー、あるいは物言うコオロギくんみたい。論理的に正しいことを言うのだけど、おチビさんたちにことごとく却下されてしまう。そうでなければ冒険譚にならないし、だからこそビルドゥングスロマン(Bildungsroman)になるわけよね。

日本語では「教養小説」訳されたりするけど、イタリア語では「Il romanzo di formazione」 ドイツ語の Bildungs にしても、イタリア語の formazione にしても、ようするにまだ何も知らない子どもが苦難を乗り越えながら、自己形成 formazione してゆくというお話。

自己形成 formazione といえば、ここでは怪獣たちにもそれが言えるんだよね。怪獣も成長して、もはやただの怪獣でなくなってゆく。つまり「 tras-formazione 」ってやつだ。

イエーガーを操作するときのシンクロが、記憶がオープンになるという設定によって、アニメでは登場人物がお互いを深く知る共感デバイスとして生かされているのが面白い。操縦するのは二人なんだけど、実質的には3人なんだよね。そこで話が展開するわけだ。

最後には「ぼうや」の秘密が明らかになって、名前だけだったシスターたちが姿を現し、新たな展開を予感させておいておしまい。これって前半で、後半があるはずなんだけど、とうぶん待たされるんだろうな。『攻殻機動隊2045』もお預けくらってわけだから。

見せてよね。待ってるからさ。
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