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美少女戦士セーラームーンSのjuriのレビュー・感想・評価

美少女戦士セーラームーンS(1994年製作のアニメ)
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セーラームーンは微妙に世代が違くて、一生懸命に見ていたわけではないんですが世代的にはおジャ魔女どれみの私です。
それでもキャラや大体のストーリーは理解していまして、セーラーサターンことほたるちゃんが登場するセーラームーンSがアマプラにあがっていたので初めてきちんと見たところ、セーラーネプチューンことみちるさんのことが大好きになってしまいました。

はるかさんとみちるさんの出会いは、なんと美しいのでしょうか。
主導権を握っているように見えたみちるさんの方が実はゾッコンだなんて、はあ、美しい..。なんかもう主導権とか小賢しいことを考えている自分が嫌になってくる。

最近は同性愛者をテーマにした映画やドラマも多いですが、どれもピンときていませんでした。その違和感は「この制作者は同性愛者として生きるというのをどのくらい理解しているのかな」というもので、もちろん私も異性愛者なので完全に理解していないんですが、分からないものは分からないと言えるんですね。問題だと思うのは、一体全体どういうことなのか分からないままわかるよこういうことだよねと描くことの方だと思うんです。同性愛者の方がこれを見ていたら、お前の理解なんて必要ないしただそこにいるんだよと思われるかもしれない、ごめんなさい。
あと、SNSで同性愛者の方が「そもそも婚姻関係が必ずしも必要というヘテロ恋愛の型に埋め込んでほしくない、傲慢だ。」とおっしゃっていて、ううむ確かに当てはめていたと自覚したんです。私は未婚なんですけど機会があったら結婚したいですし、多少夢を見ている部分もあります。ですがこう、ふと冷静になって考えると自分に自信がないからある程度法の元誰かに認めてもらいたいんだなぁとか、拘束力をもって誰かと繋がっていたいんだなあと自分の弱さを感じるんです。これは自分への内省だけであって人のことはあれこれ言っておりませんよ、念のため。一言で言うと、私は誰かを自分以上に愛する勇気もなければ好かれる努力を続けることができるという自信もないのです。
言ってもこういう人間が世の中ほとんどで、そんな人が少しでも互いを助け合えるように存在するのが婚姻制度なのかな、と思います。

長くなりましたが、ここからネタバレを含みます。
みちるさんははるかさんを見かけてから彼女に惹かれる自分を見出し、彼女のことを調べるうちに自分と同じ世界の終焉を防ぐセーラー戦士の片割れだと気づきます。
そして「あなたは女性なのに、おかしなことにあなたの助手席に乗って海岸沿いを走りたいなんて女の子もいるのよ」なんて、自分のことなのに何でもないわって顔をしてはるかさんに話しかけます。
ああ〜もう、純愛。わたしこんな純愛したことあるかな?わたしが自分で純愛だと思い込んでいたものは相手を理想に仕立て上げて信仰するというものだった気がする。いつも思うんだけどアニメのキャラって年相応じゃなく大人びすぎているよ..。
この2人の描き方として、男性っぽいはるかさんとその側で可憐に咲くみちるさんというのがあります。恥ずかしいんですけどこのみちるさんポジションは私の憧れです。というかこのアニメが放送された時代はみんな女の子は憧れたのではありませんか?今どうなのかはちょっと分からないのですが。
相手を立てるとか一歩下がるとかそんな言葉とはまた違って、はるかさんのことを信頼しているから決断もある程度彼女に任せてついて行く。
男とか女とか、性別なんて関係ないよってのもいまの風潮としてあると思うんですが、私はそれに100%賛同できるわけではないので性の役割的な描写を残す武内先生、いいなと思います。この時代に同性愛を描いたのももちろんすごいし、分からないなりに想像した結果が他のどの物語より純愛だったというのもすごい。すごい手腕。
みちるさん、ピンチのときは命を持ってはるかさんを守るんですね。もう、泣きました、あのシーンは。嗚咽です。
冒頭に書いたように私が同性愛者に言及するにあたって至らぬところはたくさんあるし、それを考えたら何にも言えなくなっちゃうくらいなんですけど、なんかもうこれを見てたらそんなん関係ない好きなもんは好き!それだけ!理由なんてない!っていうシンプルな考えに至りました。
シンプルだけど簡単にそう思えないほどいまの時代は複雑なんだと思う。

はるかさんは、みちるさんと出会う前は全てに苛立って満足できていない人物として描かれています。
今も感情的なところは残りつつも、みちるさんの愛を感じ取ってからはそれに呼応してますます美しく輝くようになるんですよね。
本来の婚姻制度の理想って、こんな感じだったんじゃないかなあって思いました。
足りないところを補い合って、2人でやっと1人分、っていう。
それとも、2人は共通の終焉=死を抱えて生きているからこんなに穏やかに愛することができるのか..。

うまく纏まりませんでしたが、思いがけなく愛とは?婚姻とは?性とは?と考えさせられたのでこちらに残すことにしました。
サターンもプルートも美しくて、外部太陽系戦士は最高ですね。
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