このレビューはネタバレを含みます
鑑賞日 2024/11月前半
簡単に整理すると、一想団は原理主義を。対する政府側は非原理主義をモットーにした対立構造となっているのだろう。
記憶がフヨフヨと雲になるのは、わかりやすく言えば"魂"と同義なわけで、哲学で言えばイデア界と現世を行き来する、いわゆる輪廻転生がその原理とも言える。
記憶チップは魂を保管して、別の肉体に移し替えることを可能とする技術。
そんな中で、人々にとっての善悪が問われるという倫理をテーマにした作品である。
まだAIも誕生していないこの時代において、このテーマを扱えるのはあまりにも前衛的。時代が時代なら、もっとそのテーマが身近に感じられたはず。
未来に対する洞察力と共に、それを作品に出来る発想力が素晴らしい。
というか、凄まじい。
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•手塚治虫っぽい絵のテイストが可愛らしくて親しみやすかった。
反面、えげつない展開とのギャップで何度も心が抉られた。文明社会に対する何か風刺的な意味合いを感じるが、こういった展開は個人的には、正直「勘弁してくれ…。」って気分になってしまう笑
•多くの人もそうだろうけれど、クロニコ回が断トツに強烈。
健気な性格にも関わらず最期まで恵まれない境遇で終わってしまうという構成は、どの物語においても共通して辛いものだ。多分、何を差し置いても一番に。
•しきりに母の存在が主張されているように感じたけれど、そこにおけるメッセージのようなものまでは読み取れず完走。
なにぶんテーマが難しいものであったため、またどこかで見直したい。
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