[何回生まれ変わっても、私はお兄ちゃんの妹になる。]
過酷な環境を恨まず、ただ兄の横にいる事を、そして妹の横にいる事を選んだんだ兄妹の話だった。
ufotableが本気を出したって事もあって作画や戦闘シーンの艶やかさに話題を持ってかれる事が多い鬼滅の刃だが、自分は堕姫と妓夫太郎の死に際に1番心を奪われた。
2人とも生まれた境遇が悪かっただけで、生きる為にただ必死だったんだ。
炭治郎が禰󠄀豆子の為に心を燃やす様に、妓夫太郎もまた梅の為に力を欲した。
発端の感情は同じなのに、境遇が違うだけで鬼の道を歩む事になってしまったこの兄妹に心が痛んだ。
特に2人が死に際に魅せた本音が自分には作中1の魅せ場だった。
[鬼になった事は後悔してない。俺は何回生まれ変わっても鬼になる。ただ、一つ心残りは、梅は違かったかもしれないって事だ。染まりやすいやつだから、俺の元で育たなければ普通の女の子、花魁、お嬢さんになってたかもしれない。]
、、、
[俺はこっち、お前は明るい方へ行け。]
、、、
[嫌、何回生まれ変わっても、私はお兄ちゃんの妹になる。
[私を嫌わないで、叱らないで、1人にしないで。置いていかないで
[ひどい、約束したの覚えてないの?忘れちゃったの?]
、、、
[俺たちは2人なら最強だ。寒いのも、腹ペコなのも全然へっちゃら、約束する。ずっと一緒だ。絶対離れない。ほら、もう何も怖くないだろ。]
この[約束]のシーン。
梅が目をまんまるにして大粒の涙を流しながら、それでもお兄ちゃんと一緒なら幸せって顔をしてるのがグサッと来た。涙止まらなかった。自分が不幸で辛い生き方をしてるって分かっていながらも、それでもお兄ちゃんと一緒なら自分はどこまでだって耐えて生きていけるんだって、そんな安堵を梅の目から感じた。この2人がこの時点で世界に救われていたなら、、、悲劇はいつだって環境から生まれる。
誰も助けてくれない、世界に救いを求めては行けない。そうやって育ってきた2人は、お互いがお互いの為に生きる事で強くなろうとしたんだ。いつだって一緒だから強くあれた、これからだって、一緒ならどこだって全然へっちゃら。そうやって2人が歩んでいく先に業火が広がるのが見てられなかった。
妓夫太郎は、明るい場所へ梅を1人にするより、2人で業火に焼かれる道を選んだんだ。
だってそう、2人なら最強だから。
3.9点
正直10話までだったら作画4.3点内容3.3点の合計3.6点くらいかなあなんて思ってたんだけど、最後の堕姫と妓夫太郎の話ですっかり心奪われてしまった。
兄妹が生きる為に手を取り合う。絶望の横でずっと支えてくれる人がいる。それだけで心がどれだけ救われるか、それを教えてくれた。