なお

スーパーカブのなおのレビュー・感想・評価

スーパーカブ(2021年製作のアニメ)
3.2
これといった趣味や友人もおらず、地味で目立たない学校生活を送る女子高生”小熊”が、ひょんなことから中古で売り出されていたスーパーカブと出会う。
この出会いをきっかけに、小熊を取り巻く「景色」は一変することとなる…

「バイクとの出会い」によって、今まで見ていた世界が変わっていく小熊の様子を、非常によく捉えているアニメだと思いました。
自分自身もバイク乗り、かつ免許を取得してまだ2年なので、小熊のそんな心境の変化に新鮮な気持ちで共感できたポイントも様々。

一方で、下記に記載するようなモヤモヤポイントも少なくなく、手放しに面白いと言える内容ではなかったのも事実。

「フィクションはフィクション。アニメはアニメ。」と割り切って楽しめる方向けの作品です。

その他詳細や雑記は下記にて…

(評価点)
・バイクとの出会いによる「世界の広がり」の表現。
上にも書いたが、バイクに乗り出すと一気に行動範囲が広がると同時に、大げさでなく価値観や景色が変わって見えるようになるんですな。

「今日は前回よりももっと遠くへ行ってみよう」
「いつもはこの道を通るけど、今日は違う道で帰ってみよう」
バイクに乗っていなければおよそ身につかないだろう行動力や思考が備わるようになってきます。

また、バイクと言えば各種パーツやガジェットを自分好みにカスタマイズできるのも醍醐味。
もちろん四輪車でもカスタム自体は可能だが、四輪車のカスタムとなるとちょっと大がかり。
でも二輪車なら、小熊のように自宅のガレージや空きスペースでちょちょいっとできてしまう。

機能性に優れたウェアも欠かせない。
四輪車と違い、自らの体を風や雨にさらすことになるバイク。
快適なツーリングを楽しむためには、それなりなウェアの購入も必要なのです。
小熊がお金がない中やりくりして手袋やジャケットを買ってにんまりとするあの感じ。乗りたての頃って、バイクショップに行ってちょっとしたモノを買うだけでもめちゃくちゃ嬉しいんですよね…

そんなバイク乗りならほとんどの人がニヤリとする「共感ポイント」が随所にちりばめられていました。

(問題点)
・「若干」現実離れしたシーンの数々。
既にネット上で賛否両論の声も上がっている「二人乗り」の一件だけでなく、「これはちょっとやりすぎじゃないの〜?」と思う場面がちらほら。
(ちなみに原付二種免許は、取得後1年以上が経過していないと二人乗りしてはいけない)

1.
富士山をカブで登ろうとして豪快に転げ回る。
雪の上をスノーモービルよろしくカブで豪快に走り、これまた転げ落ちる。
百歩譲って雪の上はまだいいとして、プロテクターなしで岩場であれだけ転んでよく無事だったものだ。

2.
冬の山でトラブルに巻き込まれた椎をカブの前カゴに突っ込んで自宅へと送り届ける小熊。
いやいやいくらなんでも。お得意の二人乗りではダメだったのか。
しかも椎は体が濡れてるのに、冬の山梨をバイクで疾走して大丈夫だったのだろうか。

3.
最終話にて、「春を捕まえる」ためにロングツーリングを敢行する小熊たち。
このとき山梨県北杜市から鹿児島県は佐多岬まで行っているが、その距離実に1,400キロ。
しかも小熊と礼子の乗るカブは両方とも125cc以下であり、高速道路を使えないためずっと下道を走ることになるはず。

別に実現不可能ではないが、免許取得1年未満1台+2ケツ1台でよくこんな強行軍をしたものだ。この気概は見習いたい。

二人乗りの件は、まだ許容範囲。
ただ、上に書いたようなシーンは、やっぱりちょっと心がざわつく…

実際の地名やバイクが多数出てくる、現実に限りなく近い世界観のお話なので、そこの乖離が個人的に受け付けないポイントだったのかも。

・小熊のセリフ回し。
始めは地味でおとなしい印象だった小熊が、話数を経るごとになんだかどんどん皮肉屋に…
下手な洋画の吹き替えを聞いているようで、なんだかこれも、うーん。という感じ。

まあこれが、本来の小熊の性格だったのかもしれませんが。
なお

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