けいた

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争のけいたのレビュー・感想・評価

3.5
1989年制作らしいからたぶん30年ぶりくらいに観た。レンタルビデオ屋さんで借りた記憶ある。

当時からすごく悲しい話だと思ってたけど、大人になって改めて観直すと、富野監督にはガンプラに夢中になる俺ら子供がアルみたく見えてたんだろうなって思った。

サイクロップス隊もみんな細部で戦いに疲れ果てる描写があったし、バーニー以外はみんなどこかで「もうすぐ死ぬ」って諦観と悲壮感もあって、だからアルの無邪気さがすごく不愉快で生々しかった。

あとこのコロニーは89年当時の日本がメタファーになってると思う。豊かで、浮かれてて、戦争なんて関係ないって感じがすごく出てた。

言葉使いや女性に対する見方も当時っぽい。なのにアレックスのパイロットのクリスが女性なのは今考えると相当斬新だったんだと思う。富野監督ってやっぱすごい人なんだなと思った。

また戦争という主語の大きなテーマを扱いつつ、最終的に個人の話に帰結していく構成も素晴らしい。戦争に良いも悪いもなく、歯車でしかない個人はすっきりした答えなんか出せない。そして必ず後味が悪い。その不条理さこそが戦争なのだ、ということをガンプラ好きの子供たちにも感じてほしかったんだろうなと感じた。
けいた

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