あんへる

機動戦士ガンダム 第08MS小隊のあんへるのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム 第08MS小隊(1996年製作のアニメ)
3.8
スパロボファンには元祖倍返し男でお馴染みシロー・アマダが主人公のガンダムOVA作品。
20年越しくらいにしっかり観たけど、やはりOP、ED共に名曲過ぎるな。嵐の中でも輝いているし、10年後に聴いてもきっと名曲だ。

連邦とジオン、敵勢力同士に属する男女のラブロマンスを主軸に一年戦争時間軸でのアナザーストーリーを描く。
このロミジュリ的なコンセプトをガンダム作品に落し込んだ上でシリアスに偏り過ぎない戦場描写に調整されているので、数あるガンダムシリーズ作品の中でも非常に観やすい仕上がりになっていると思う。

物語を通して感じたことは、誰かを愛する事に理由や理屈は必要無いというプリミティブなメッセージ性と、自力じゃどうにもならん事象や環境に対しては結局さっさと逃げるのが一番ということだな。
上層部が腐りきった組織とは早めに縁を切るに限る、というシリーズキャラ伝統のセオリーがあった。
事実この戦争が終わった後も延々と殺し合う歴史が続くのが宇宙世紀なんで、シローとアイナの選択ってたぶん正しいんだろうな。

魅力的なキャラクターが多く登場する本作だが、やはりノリスの壮絶な最期が忘れられない。
ランバ・ラル以来のグフ使いのエースパイロットとして機体の地位向上に尽力した宇宙世紀における偉大な功績を遺した人物でもあった。(?)
武人として、アイナの父親代わりとして、彼女の想い人の前に立ちはだかり「面白い人生であった」と勝ち鬨をあげながら散っていく生き様があまりにも鮮烈。
ニュータイプという概念が登場しない本作で、唯一といっていい“特別なオールドタイプ”として彼が存在している意味と価値を噛み締めずにはいられない。

だが何が虚しいって、そんなノリスの誇りも気高さも、アホな人間の愚行一つで簡単に無に帰すのが戦争って所業なのよね。
「人の生は何を成したかで決まる」ってのが少し皮肉的な台詞に聞こえるから哀しいよね。
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