厳しい事を書く。
まず、正直に言うと2期は採点を与える価値もない。
ジュラシック・ワールド/ドミニオンやファンタスティック・フォーなどと同様に、制作陣の信念が著しく足りない。
〈「私を叶える物語」とは何なのか?〉
あらゆる方面から批判を受けたトイ・ストーリー4、大人から良い反応があったカーズ・クロスロード。
上記2つは自分的に「私を叶える物語」のテーマに即していた。
ウッディは「おもちゃとして子どもに遊ばれることではなく、自分の自由を見つけるため、ボーと生きる事」を決め、マックイーンは「レーサーとしての夢に一区切りを付け、後輩レーサーの指導に当たる事」を決心した。
彼らは「観客が望む姿」でいることよりも「彼ら自身がどうしたいか」を、制作陣によって尊重されたのだと感じる。
スパスタ2期最終回のラストシーンまでのかのんも彼ら同様であった。
ラブライブというシリーズにおいて留学や帰国というネタは使いまくられており、大抵、「やっぱり行かない!」という結論に至るパターンが多い(それはそれで良いのだが)。
しかし、この2期においてはかのんが「キャラ自身が自分の考えの末、ついにちゃんと留学に行くキャラ」となることに「新しい切り口が出たな」と感じた。
だが、2期最終回のラスト30秒でそれは打ち砕かれた。
制作陣の「3期に繋げて新規生のオーディションもやってもっと儲けたい!」というエゴによってだ。
かのんは「世界に自分の歌を届けること」という夢を持つ。
それを達成するためには日本に残ってリエラでいるよりも、ウィーンに留学することが大事なのだと他のメンバーも
認め、かのん自身も決断を下した。
リエラでいることは人生のすべてじゃない、あくまで通過点に過ぎず、夢を叶えるためにはきちんとタイミングに合った決断をその時時でしなくてはならない。
それに、かのんは留学をしたほうが後々、リエラにも有益になってくる。
自分の夢を叶えるために、リエラを離れ、留学に行くというある意味辛い決断をかのんは下した。
しかし、それがかのんにとって「私を叶える」ためには大事だったのだ。
だが、それを制作陣がぶち壊した。
最終回ラスト30秒は「私を叶える物語」から「制作陣のやりたい物語」にされた。
それは辛い決断を下し、より高みへと、自分の夢へと近づいていこうとする
かのんを明らかに侮辱している。
なぜだ。
留学をそのままさせたとて3期には繋げられそうであるのに。
もし今回の物語への批判や疑念を顧みることもせず、3期も同じスタンスで行くのなら、間違いなく失敗するだろう。