ろーしゃ

ぼっち・ざ・ろっく!のろーしゃのレビュー・感想・評価

ぼっち・ざ・ろっく!(2022年製作のアニメ)
4.5
成長とはなにか…ロックな生き方とはなにか…。壁にぶち当たったり環境に適応したりして他者に揉まれながら進んでいくのが王道の成長物語だとすれば、ぼっちちゃんはズレたままで生き抜く力を無意識に獲得していてぼっちざろっくはその環境形成の物語。ぼっちちゃんが自分でつけたギターヒーローってユーザー名は面白くて、本当にヒーローのごとくひとりで場を変える力(ギタースキルや信じられないくらいの狂行)を持っている。ぼっちちゃんは自虐的ではあるけど作品を通して大きく変化することはないし他者の視点を妄想することはあっても取り込むことはない。自分の再構築をどう成功させるかという真面目な隠キャの夢に対して、その果てしなさに早々に見切りをつけて独自の生き方ロックを(無意識のうちに)見つけたぼっちちゃん。「あっ」とか「うっ」とか唐突に喋っちゃうとかすぐ頭の中で悲観的な妄想をするとか表層的な隠キャネタには共感できても、生きる力を素で獲得しているぼっちちゃんに対して中途半端な隠キャは心から共感できなかったりする。あるがままで認められていく世界の物語にある人は涙しある人は唇を噛むだろう。そういう隠キャの無意識に語りかけるコードがありつつもライブシーンのイカす演出やマメなバンドネタがアニメとしてのクオリティを底支えしていてかなり厚みのあるバンドだった。あまり触れられない長髪のライブハウスの店員の描かれ方とかかなり良かった。
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