言わずと知れた名作。
● EP.1: 火の鳥は実在するのか、それとも、不死に対する人間の欲望の象徴なのか。文明がいかにローカルな文化を支配してきたかも、よく描かれている作品。
● EP.2: 猿田彦とナギの関係性が紡がれていく。人間社会には権力差がどうしたって生じてしまう以上、《赦し》や《信じる》ということ、そして《再起》は、時代を超えた、一貫したテーマなのだろうと思う。
● EP.3: (1) 卑弥呼の暴君ぶりが描かれる。自身の強み(呪術)で支配することを絶対視し、自分の判断を疑うことをしない。それが、敵をつくっていくことに。(2) さらに、老いや死に逆らおうとする卑弥呼。欲望に駆られた末に絶命。(3) ウズメにも過去がある。
● EP.4: (1) ナギは「よそ者」だからこそ、卑弥呼の霊前でさえ、躊躇せず火の鳥を持ち出すことができたのではないか。(2) 生命は途絶えることはない、というメッセージ。(3) ナギ;猿田彦らから、タケルヘと物語が継承される。
● EP.5: 復活篇。現代にも通じる問題ばかりを主題とする、手塚治虫氏の慧眼に驚くばかり。(1) 人工知能を脳に(半分)移植したゆえに、心までもがロボットになったレオナ。他者によって過去を再生「させられる」ということは、想像以上の暴力行為なのではないか。(2) 《運命》とは何か。十分明晰に表象できない過去の記憶に導かれることをいうのか。
● EP.6: 復活篇2。(1) 人工知能によって「生き続ける」ことに意義はあるのか。「生き続ける」ことは罰なのか。ロビタとして生き延びることの意義。生命とは何なのか、考えさせられる。(2) 父との確執。どんな手を使ってでも生き続けることが、父への復讐と考えていたレオナ。
● EP.7: 異形篇。次元の狭間において、生き続けるということ。因果応報とは。
● EP.8-11: 太陽篇。to be added.
● EP.12: 未来篇1。(1) ムーピーは現代でいうインターネットのようにも思え、ロックは人間の愚かさ(自暴自棄で自分のことしか考えない傲慢さ)を象徴しているように思える。(2) タマミの「人格」「意思」を尊重せず、マサトはタマミを自分の所有物だと思っている時点で、マサトとタマミの間には、真の「愛」は育まれていないように思える。(3) 冒頭のアダム(原作ではブラッドベリイ?)のシーンを見て、人間にとって、「生きる」ことの要件とは何なのか、考えさせられた。人工羊水のなかで、生命維持活動をし、読書に勤しむという意味での知的活動をするだけでは、不十分なのだろう。
● EP.13: 未来篇2。これまでで最も哲学的なエピソードだったように思う。(1) 待つことの意義。何かが起こるのを待つという姿勢から、自分が理由だという境地へと覚醒する移行が、悦びとして表現されていることが圧巻だった。(2) なぜ、マサトが選ばれたのか。原作を読んだ時からの疑問。その解のひとつが、必然としての偶然なのだろう。すべての生命はひとつで、終わらないもののことをいう。