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魔法科高校の優等生のnamikiriのネタバレレビュー・内容・結末

魔法科高校の優等生(2021年製作のアニメ)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

原作小説、優等生のコミックスも好きで全巻読んでる人です。良い点、そうでない点含めて感想書くので、見たくない方はスルーお願いします。

【コミックスの優等生の好きな点】

・兄弟のイチャラブが存分に楽しめる
・原作サイドよりも兄の雰囲気が柔らかくて、女性作者ならではの目線で達也がモテる点が納得できた。
・九校戦の一高対三校でのスポーツマンガ的な雰囲気とオリキャラに好感が持てた点
・絵の雰囲気が柔らかい感じ。個人的にこれも、アリだと思えたところ。

【コミックスの優等生でモヤっとしていた点】
・入学編で原作と重複する内容が多かったところ。

【コミックス全体としての感想】
・公式の出したイチャラブに主眼を置いた良質の同人誌だと思って読むと、楽しめる。原作は、SF/アクション寄りなのに対して、本作は少女マンガ的・恋愛・スポーツマンガ的な味付けが好み。

【TV版1話感想】

兄弟のイチャラブメインのAパートは、及第点だった。しかし、アバンとBパートの演出には、強い違和感を感じた。

テロリストとの戦闘で、コミックスでは、深雪の最後の詰めの甘さを兄が守り、そこに深雪が心酔するシーンがある。
深雪が兄を敬愛する理由が分かる良いシーンだと思ったのだが、何故か改変されていた。

あと、敵であるテロリストが脅威に見えず、むしろ敢えて三下に見せている演出(作画と声が与える印象だと思う)の意図が分からなかった。

テロリストという「脅威」に臆する事なく立ち向う姿に深雪らしい魅力があるのに、敵が「三下」となってくると受け取る印象は、大きく変わってしまうと思う。

コミックスでは、深雪の高潔さと正義感、兄への敬愛が表現出来ていて良いと思ったのだが、、、。

全くの憶測になるが、本作の興行的な趣旨が「とある」シリーズの「レールガン」的な狙いで製作されたものと推測される。

そのために深雪を全面に出したものと推測する。
ただ、私個人の見解としては、視聴層である男性は達也に自分を重ねて深雪を見ると思うので、兄を目立たなくするのは逆効果だったのではないかと思う。

「レールガン」では、当麻に恋愛感情を持ち、百面相するところに、御坂美琴の可愛さが凝縮されていて、そこが良かった。キャラクターの魅力を引き出す事に長けた、長井監督の作家性とも言える。

【こうあって欲しかったな〜というプロット】

・追憶編の一部を序盤に。はやみんの聲だけでもいい。この命は兄に貰ったものだという動機づけの提示
・深雪の人となりのわかる演出。高潔・正義感・負けず嫌い & 兄へのちょっと歪んだ愛情というスパイス。
・妹を甘やかす原作よりイケメンの兄とイチャラブ
・原作と重複する入学編は1話ぐらいで簡潔に。
・ノーヘッドドラゴンの件は一切カット。
・男性モブキャラ系は一切出さなくてもいいかな。
・逆に原作で描かれなかった、九高戦の練習を一高、三校とも加えてもいい。
・九高戦女子のオリキャラに焦点を当てる
・少女マンガテイストで雰囲気を柔らかく。
・三高とのスポーツマンガテイストで努力とフェア精神の上で結ばれるリスペクト。
・飛行魔法で深雪の舞と兄への最高の笑顔でクライマックス
・爽やかな余韻の残るエピローグ。

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ここからは、この作品というより、今後のアニメ業界の再編についてのコメントです。

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これからのアニメのグローバル化や配信ビジネスが立ち上がる時代の変化と共に、演出家や脚本家にはより強い作家性が求められていくんだと思う。それは、チャンスでもあるんじゃないかな。

そのためには、抜本的な制作体制の変革が必要不可欠となってくるはず。

スタジオカラーの一気通貫体制での成功や2022年からのバンナム(Sunrise)の再編(まずは制作拠点の集約)などから推測すると、アニメ業界は内製化に舵を切って、日本のアニメ文化で戦うべく製作・制作体制の抜本的な仕組みの見直しに動き出しているように見える。

アニプレも海外の配信会社(Crunchyroll)を買収し、ソニーグループとして世界展開を目論んでいるんじゃないのかな。

そういう時流から、優良なスタジオ、作家性のあるクリエイターが選ばれていく時代にそろそろ入ってきているんじゃないかと私は感じた。
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