アー君

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けないのアー君のレビュー・感想・評価

3.4
原作者曰く、3部(承太郎編)で終わらしかったようだが、なんとか書き上げた印象も否めなかった。

ジョセフの隠し子が主人公という話も無理を通り越して仕方ないことかなと自分に言い聞かせたものである。

当時はデヴィッド・リンチの高視聴率テレビドラマ「ツインピークス」が世界中で話題になっていて、荒木氏もそのような気怠い世界観に影響を受けたと公言をしていたが、確かに終わりがみえない雰囲気があった。

スタンドの原因が「弓と矢」による理由は分かったが、生まれながらのスタンド使い(アブドゥル、ポルナレフ)もいる訳だし神経質かもしれないけど、万人が納得をさせる整合性が欲しかった。

映画でも活躍中の漫画家の岸部露伴がこのシーズンから登場する事になるが、個人的にはとても苦手だった。なんでなのか分からないけど引き込まれなかった。スピンオフの単行本は買って読んだけど、映画・配信はほぼ観ないと思う。

猟奇殺人者の吉良吉影は、手に対しての性的偏向には理解はできなかったが、犯罪における人格の二面性は上手く使っていて、妙なカリスマ性があった。子供時代の表彰がすべて銅賞の3位で何が得意なのかが分からない。露伴とは違って非常に惹かれる存在であった。最後の死に方も必然的な戦闘よりも偶然という事故で人生を終わらす方法論で、承太郎編の3部の最後にも仄めかしていた「運命」という言葉を伏線にしたテーマであり、ストーリーテラーとして有終の美を飾った内容であった。

これはうろ覚えで確かな情報ではないが、第4部の仗助編は死後の世界をメインにしたかったらしいが、周辺からの猛反対で却下されたとのこと。それが読み切りの吉良吉影が幽霊として活躍する「デッドマンズQ」は、荒木が本当に描きたかった幽霊編の縮小版ではないかと推測している。

[2016年12月24日:MXテレビ]
アー君

アー君