たわらさん

ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風のたわらさんのレビュー・感想・評価

4.5
第5部以降はジョジョが伝えるテーマ性が登場人物によって言語化されており、エンタメ要素の多い前シーズンに比べて哲学的といえよう。我々は運命の奴隷であり、時には環境を選択できず不条理に見舞われるのは宇宙の法則に縛られている。この変えられない運命を悲観するのではなく、置かれた状況下でも「正しい心」を表すことができる。荒木先生は結果より正しい行いをしようとする意思や過程を尊重して、それを実行することの美しさを謳ったのが人間讃歌と称したのである。それは『ジョジョ』の一貫したテーマであったのだが、主人公がチームの活性化を図るきっかけとなっているのは部の中でも異質といえよう。ジョルノの存在は限りなく運命と抗う「覚悟」のメタファーである。

そんなテーマ性を押し出した第5部であったのだが、能力の複雑化によりバトルが釈然としないのも正直な感想である。それに加えて声が軽い声優が多々当てられていたため原作の白熱さを再現したとは言い難い。それとキャラ人気の高い部ではあるが、敵味方含めてトチ狂っていて個人的には共感性を得にくくて好きになれないキャラが多い。

尺の長いバトルよりキャラを掘り下げる回想パートの方が面白く、シリアスな描写の連続も5部の特徴。さらにディアボロ戦の盛り下がりといい不満点はあるもののナランチャvsホルマジオや兄貴&ペッシ戦、ギアッチョ戦を筆頭に名勝負もあるのもまた事実。

「「覚悟」とは!! 暗闇の荒野に!! 進むべき道を切り開く事だッ!! 」
たわらさん

たわらさん