たわらさん

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン 第2クールのたわらさんのレビュー・感想・評価

4.7
F・F関連の物語は荒木先生の人生哲学を反映しているのではないか。生きるとは記憶を蓄積していくことであり、本人の意志で感動を築いていくことである。これは輪廻転生をして魂が新しい生命に宿っても、築かれた記憶は白紙に戻るため別人でしかない。故に、今ある命を持って天寿を全うすることが出来るのが人間なのである。

すっかりと近距離パワー型のスタンドは少なくなり敵味方含めて難解な能力は多いが、何を仕出かすか分からない悍ましさのようなものが増している。また、荒木先生がこの時期にハマっていた作品などが能力に反映されていて時代性を感じられる。

「『復讐』とは自分の運命への決着をつけるためにあるッ! 」

「生きるという事はきっと『思い出』を作る事なのだ…」

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荒木先生が伝えたいメッセージは第1部のツェペリさんの言葉に集約されています。

「『勇気』とは『怖さ』を知ることッ!
『恐怖』を我が物とすることじゃあッ!
人間讃歌は『勇気』の讃歌ッ!!
人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!」

歴代のボスたちは他者の犠牲を厭わない人間性の否定をするジョースター家と対となる存在として描かれてきて、本作のプッチも同様です。プッチが掲げる"覚悟"(勇気)とは、一巡した世界に到達して身に降りかかる事象を把握することで恐怖を感じずに未来を迎える心の準備を表しています。

そんな人間性を否定したプッチを打ち砕くのが人間讃歌を謳い一蓮托生した徐倫チームであり、決着を付けるのが「先の見えない未来に進むべき道を切り開く黄金の精神」を継承した少年である。皮肉にもそれを可能としたのが人と人を繋ぐ"引力"である。

最終話にてエンポリオが人間が持つ喜怒哀楽を表れているのがとても人間らしい。この一巡した世界で6部メンバーがメイド・イン・ヘブンに干渉される事なく独自の未来を切り拓いていることを垣間見えた喜びと、共闘した仲間たちとは別人であることの悲しみが溢れるラストである。

✔️6部最終章の感想
得体の知れない何かを攻略していくジョジョらしさが歴代一であり、スケールの大きさも含めてジョジョの集大成であった。分かりやすい悪を徹してくれたラスボスたちの中で、幸福論を提示したプッチにも一理があり、大衆のための正義を掲げる敵としてとても興味深かった。アニメシリーズも10年経ったんだな、と同時にジョースター家の物語を完結を感じさせる最終話が素晴らしい。

ありがとう アニメ化 本当に… …本当に… 「ありがとう」…それしか言う言葉がみつからない…

✔️雑感
・改めてプッチに付与された属性って異様で、ジョセフのように一人で数多の敵を薙ぎ倒し、承太郎やジョルノのように覚醒し、瀕死のタイミングで運命が味方する主人公キャラである。対する徐倫は歴代ジョースターの中でも最弱なんだけど、この選ばれない主人公であるからこそ刑務所で奮闘する様に魅了される。康一や早人、エンポリオといい、能力が秀でてないモブっぽいキャラを視聴者目線で置いていると思うし、荒木先生なりの美学があると思われる。
・この作品を20年前に完結しているのが凄過ぎる。
たわらさん

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