You're still their brother.
ジェダイ粛清の非情指令オーダー66発令シーンから始まり、クローンの中でもさらに突然変異遺伝子を持つが故にオーダーに従わなかったクローン・フォース99。同胞からははみ出し者扱いされ、モフ・ターキンからは実験素材と見做された不良分隊の孤軍奮闘星球大戦が今始まる。
ルーカスの正統後継者デイブ・フィローニによるクローン・サーガ最新作にして集大成。『クローン・ウォーズ 』終盤で颯爽と登場し大活躍した不良分隊の物語は、シリーズ及び『反乱者たち』を見届けたファンにとっては最高の感慨と感動をもたらすこと必至。マンダロリアンs2に匹敵するゲストの豪華さにはテンションぶち上がりました。
本作を語る上で欠かせないトピックが、“東映任侠シリーズとしてのクローン・サーガ”でございます。
ジャンゴ・フェットa.k.a.テムエラ・モリソンを複製したクローン兵のCGモデルたちが、いかに菅原文太に似ているかという議論はこれまで散々交わされてきましたが、今シリーズでは遂に高倉健そっくりな僕の推しキャラ・クロスヘアーが本格参戦し残俠度はMAX。ちなみにクロスヘアーのアーマーデザインは至高!
さらには分隊を率いるリーダー、ハンターの見た目は完全にジョン・ランボー怒りの脱出Ver.であり、つまり本作はスタローン×菅原文太×高倉健の夢のクロスオーバーが実現したSFアクション超大作でもある訳です。
ハンターとレッカーの夫婦漫才はユーモア抜群だし、オメガを迎え兄弟から家族へ解釈が拡大していく実にクローンらしからぬ物語。マニュアルに縛られず大胆かつ泥臭いやり方で道を切り拓くスーサイド・スクワッド戦法もアツい。
そして本作最大のテーマである個性。クローンという題材はSWの裏テーマとしてルーカスが長年大事にしてきたものだけど、バッド・バッチはSWが描いてきたクローンという業の受け皿として、ひとつの答えを提示します。奇しくも最近観たフリー・ガイとはケジメのつけ方が天地の差で興味深い。クライマックスの舞台がカミーノなのも素晴らしい選択だし、崩壊していくカミーノの美しさったらない。
何かとスピンオフやシリーズが多くて情報処理に困る世の中だけど、デイブ・フィローニのビジョンへの信頼は揺るぎません。