平田一

キャロル&チューズデイの平田一のネタバレレビュー・内容・結末

キャロル&チューズデイ(2019年製作のアニメ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

“きっと忘れない

あの、永遠のような一瞬を

あの、ありきたりな奇跡を”



2019年4月から同年の10月に、フジテレビ「+Ultra」枠でオンエア・配信(開始時はNetflixで全世界独占配信。後にFOD(フジテレビオンデマンド)でも配信がスタート)された、“音楽”をテーマとしたオリジナルアニメーション。ネイティブイングリッシュにこだわり、世界規模でアーティストのオーディションも行われ、まさに世界水準に相応しい本作は、「カウボーイビバップ」や「坂道のアポロン」等で世界的に評価の高い渡辺信一郎監督(本作では総監督)の音楽へのこだわりも炸裂している傑作でした。


簡単なあらすじは、

人類が火星に移住を開始してから50年。音楽はAIの提供が主流の時代で、ハンドメイドで曲作りに挑む二人の少女の話。一人は地球生まれの火星孤児であるキャロル。もう一人は火星生まれのお嬢様のチューズデイ。生まれも育ちも真逆の二人が音楽を通じて出会い、時代の転換点でもなお曲と共に歩き続け、後に“奇跡の7分間”と呼ばれる瞬間へと向かってく―――。

相当の音楽通だと雑誌で書かれていただけあって、渡辺信一郎監督はジャンキーレベルのマニアですね。特に洋楽への造詣が深いことがよく分かって、選曲もアニメを特集していた雑誌に書かれてました。お陰でApple Music は調べた曲でいっぱいですw

そういう発見と探求する楽しさもオススメです。もっぱらボクはJ POPかアニソンだけの人間なので(苦笑)。


しかも本作のオリジナル曲もホントに大好きです。

特に前半クールのキー「The Loneliest Girl」はこの先も何度だって聴きたい名曲すぎますね。12話での演奏なんか、記憶に残るほどですし!

他にも8話でお披露目されたピョートルの「Dance Tonight」、ぜってーモデルは50セントwなOGブルドッグの曲(「Bulldog Anthem」)に、キャロル&チューズデイの「Whispering My Love(運転中で、周りは野原の晴れたハイウェイで聴きたい♪)」と、一回じゃ勿体ないぐらいに聴きたい曲ばっか。

各音楽配信サイトで是非とも堪能してほしい♪
「Galactic mermaid」はフルを聴いたが、ヤバすぎる(大爆笑)w


あと忘れちゃいけないのが、本作の物語。

お話自体は取り立てて、真新しいものは無いし、むしろ奇を衒っていない、直球のド王道。

ですが当時、いえ、現在の世相を反映したドラマ、不寛容や移民排他、表現の過剰規制……マイノリティやジェンダーをも包括するストーリーは、王道であったからこそ、殊更響くという反応。日本のアニメでこういうテーマを見られるなんて嬉しかった。ボクはこういうメッセージ性が詰まったのも好きなので✨

特に音楽がその世界を突き破る武器である。その姿勢がカッコいいし、眩しくて、最高でした!

モデルは絶対、間違いなくチャイルディッシュ・ガンビーノ (Childish Gambino)な、エゼキエルの「Crash The Server」なんかまさにです!ボクはそのガンビーノの「ディス・イズ・アメリカ(This Is America) 」
が大好きなので、過激なリリックに内包した問題提起は痺れました!

奇跡の7分間内の「Mother」もホントに大好きで、今度の大晦日で真剣に聴こうかなって検討中w

要するに……てか、気が付いたら、また曲の話じゃんw


キャラクターに絞っていくと、

「ケイティ・キムラ」が一番好きです。

え、何?

キャロル&チューズデイじゃないのか?アンジェラでも無いのか?ガスでもタオでもロディでも、ましてやアーティガンでもなくて、脇役の女の子?

いやいや、勿論理由はあります。

主要キャラはみんな好きだし、全員推したいほどですよ。でも書いてて真っ先に思い浮かんだのがその子なんです。

この子は最初、アンジェラの大ファンで登場し、アンジェラの新しいマネージャーに任命されて、ファン目線のちょっとイタい言動もちょこっとあります(そこが逆に可愛いですが)w。ところがとある事件の際に犯人だと疑われて、一回はアンジェラから離れることになってしまいます(後に冤罪だと判明)。再登場では傷心のアンジェラを真摯に支え、タオからアンジェラを託されて、マネージャーに復帰する。出番は多くないんですが、要所要所でこの子は重要な役割を任されて、ジベールとの合わせ鏡のような役割も内包。この子もかなり主役級のドラマを宿したキャラですよ。

また演じる東山奈央さんが本当にピッタリで、純真さと応援したい不器用さが愛らしく、視聴者と立場が似ているこの子を命を与えてました。ぶっちゃけこの子の視点で話を書けるって思うぐらい(マネージャー日誌って名目で小説とかね)!

つまり推しを色んなところで見つけられるところもあります!

その面でも初見の時より、このアニメが好きですね!


まーた長くなったので、そろそろ総括いたします。

OP・EDや「VOCAL COLLECTION」シリーズを聴きながら書いてきましたが(今は第2クールでのOPを聴いています)、曲・ドラマ・世界観……初見の時より大好きです!窪ノ内英策さんのキャラクター原案に、アニメーションに落とし込んだキャラクターデザインに、作中美術や出演声優(市ノ瀬さんのチューズデイがメチャクチャハマっていましたね♪)……驚くぐらいにすべてが噛み合い、見事にキマっていましたね。

初見の時は話があまりに王道すぎると思ったり、いくら何でもそこまで都合良く行くか?って思いましたが、「BNA」の時と同様、二度目で化けるアニメでした!

映画然り、アニメ然り、あらゆる創作物然り、二度目で惚れたらその作品は、どうやら本物みたいです✨

また一度、これから先も、戻ってきたい名作でした!

さて、レビューも書けたことだし、次の曲も楽しもっと♪
平田一

平田一