「ゆるしたか?」
盛衰の平家を舞台に、ただ史実を追うのではなく、ひとりひとりの心の声に、耳を澄ませた多重奏。ただ悲劇の歯車になるのではなく、自分らしく感じ、懸命に生きた彼女たちの生きざまに、目が離せない。
浮世絵のような構図でしずかに見せたかと思うと、現代的なカット割で劇的に見せる。なじみのない琵琶の音も、語らずにいられない琵琶の想いを見ているせいか、すっと胸に染みて、彼女の語りに圧倒される。現代の名語り部、吉田玲子も並々ならぬ思い入れがあったのでは。
しずかで剥き出しで、きっと怨念も生きやすかったであろう時代、しずかで素朴で、笛の音も澄みわたったであろう時代。オープニングのはじける笑顔がまぶしくも寂しいな、これらの笑顔は決して同居することはないのだ。