「電話の相手は、わたし?」
思春期特有の心の揺れと、そこに寄り添う景色を思い切りSFに。タイトルからして萌アニメな雰囲気だけど、すごく悩んで作り上げたであろう真面目な作品。ライトノベル風の掛け合いもあるけど、おかげで軽くて見やすい。
SF風なことが起きるだけじゃなく、量子力学を交えた双葉の解説もあって、本格的。「認識」「観測」を軸にしていて、哲学的ですらある。心の揺れを、可視化してくれていて分かりやすい、とも言える。そして寄り添い方がほんと優しい。
バニーガールのエピソードが早速不思議。「ラプラスの悪魔」すごい面白かった。双葉の「尻を出せ、ブタ野郎」も良い。公衆電話シーンも良かったし、ラストエピソードが渾身。
人に理解されない苦しみ。見える景色はみんな違う。それを経験し、理解するからこそ、優しくなれる。思春期のときにこの作品を見ていたら、「揺れ」とのつきあい方が違っていたのかもしれないな。