平田一

ブラック★★ロックシューター DAWN FALLの平田一のレビュー・感想・評価

3.9
“突如始まる世界の終わり。求めるは絶滅か、生存か。”

日本のイラストレーター、hukeさんにデザインされたキャラクター、さらにはそれを元にした楽曲、TVアニメーション、TVゲーム作品などのメディアミックスが幾度も展開されたプロジェクト最新作。新シリーズは「PSYCHO-PASS」「revisions」で知られている作家・深見真さん(シリーズ構成・脚本)と同じく「PSYCHO-PASS」シリーズで外伝小説を執筆した吉上亮さん(シリーズ構成協力・脚本)が共同で脚本を執筆し、「グリサイアシリーズ」の天衝さんが監督。

西暦2062年、人工知能アルテミスの暴走により荒廃した地球で、人類の守護者の一人・エンプレス(ブラック★ロックシューター)が目覚める。だが彼女は目覚める前の記憶を失っていた。物語はアルテミスに反旗を翻す反乱軍、かつての仲間ストレングスとデッドマスターとの再会、そして人類最悪の敵対者たちの物語―――。

オンエア自体は知っていましたが、見る機会を作れなくって、ようやく秋に見られる手筈を整えられた限りです。ノイタミナで放送された前作の方は見てて『インセプション』みたいな世界とそのギャップが強烈でした。今回は強いて言うなら「ブラック★ロックシューター」を『マッドマックス』世界にぶち込むアポカリプスアクション化して、しかも共同脚本家の趣味がもれなく全開ですw

例えば悪役サイドの一人「教育機関」のスマイリーは、ニヤッとするほど『怒りのデス・ロード』のイモータン・ジョー的で、けれどそれを下劣で下品なクソヤローにしてますね。 生理的に完全嫌悪な人間すべての敵レベルで、女性たちを平然と犯し殺す外道の極み。ホントこの世にいてはならない最悪級と言いますか、胸糞の悪い野郎をここまでやるとか驚きです。だからこそ辿る末路はざまあみろ!と言いますか、ゲームセットだクソ野郎!って爽快の極みです(どこのマイケル・ルーカーよw)。まさに大佐が言ってたように「スマイリーと教育機関なんて前座ごときに仲間の命をくれてやるな」がピッタリの前座です(いや前座以下ですな)✨

それ以上に壊れまくってるルナティックもおっかない。まさに大佐が言ってたように「順序が逆にもほどがある」。しかもむちゃくちゃ強いという欠陥だからタチが悪い。演じる友永朱音さんは「失われた未来を求めて」という個人的傑作アニメでどこか無機質なヒロインの古川ゆいを演じてましたが、この人は何で機械的な女性の役が合ってるの?w まあ、スマイリー同様、生理的に大嫌い!

他にも最終決戦前の宴を交わしている場面は『マグニフィセント・セブン』とかが大好きなので感激で、大佐の滲む人間らしさがカッコいいし大人すぎ。後にみんなを助けに戻るシャーロットも熱いです。モニカと深い仲にあったイサナの存在感もいいし(そこはちょっと深見さんのカラーを感じさせますね)、あと映画『WALL・E』みたいなロボット、アンディも好きだし、見れば見るほど映画オタクがニンマリしちゃう仕掛けアリ。この手の話が好きな人には嬉しい気配りたっぷりです。

欲を言えばラスボスを完膚なきまで叩き壊すラストを是非とも見たかった。やはりそこがあってこそのアポカリプスものかと。しかしなかなか熱いものを詰め込んでた作品なので、これを「Disney+」独占配信なのも驚いた(笑)。
平田一

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