このレビューはネタバレを含みます
すごいすごいすごい!!!
固定概念ぶち壊す作品が20年以上前に存在していたなんて……!!!
正直一周目では理解できない……。
男性に支配される女性。
または男性に支配される存在だと思い込まされる女性。
(=父権性、典型的な王子様とお姫様の物語が「幸せ」という教え込み)
人間の欲望、軽薄さ、自己中心性、愛情(兄弟愛、同性愛、異性愛、友愛)。
などなど。
美麗な絵柄と独特な音楽で、
上記のような様々なお題を全39話で描く。
鳳暁生がやたらと体使うなと思ったが、
話が進むにつれてそれしか彼に使えるものが無いから
ということが分かってきた。
ウテナがあまりにも純粋で気高いので、
普通の人間なら屈する支配欲や物欲では落とせず。
そこで、性欲に走った。
「女」を意識させることで自分という「男」の支配下に置こうとしたのだろう。
結局、ウテナは処女を喪失するが、
気高さを失うことはなかった。
純粋さは失ったものの、それにより
やっとアンシーとの対話が可能になった。
ウテナにとって性欲はマイナスに働かなかったのだ。
ラストシーンで、ウテナが薔薇の花嫁としての役割(人々からの嫉妬や憎悪を受け止め続ける役割)をアンシーの代わりに引き受けたのかどうかは分からない。
ただ、私は引き受けたと思っている。
そうでなければ、暁生の世界(棺の中)は最後の決闘後も存続できないだろうから。
しかし、アンシーが門外へウテナを探しに出て行った。
もはや暁生の世界は維持することができないだろう。
なぜなら、アンシーが暁生の権力の根源だったから。
ゆえに、ウテナは苦しみから解放される可能性がある。
そういう意味で、「少女革命ウテナ」なのだろう。
アンシーを救いつつ、ウテナ自身も救うという意味だ。
というか、そう信じさせてほしい笑笑
だって、好きな男にも大切にしていた友人にも裏切られ、何もその手に残らないなんてあまりにもウテナが報われない。
気高さは孤独や自己犠牲と同義なの?って悲しくなる。
ウテナの敗北は世界と闘ってきた/闘っている/闘おうとしている人々全員の敗北を意味する。
それってあんまりじゃないか。
だから、私は信じる。
ウテナは決闘には勝てなかったのかもしれない。
でも、負けてもいない。
彼女は新たな秩序のために革命を起こした。
そう、信じる。