カニ組長

老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めますのカニ組長のネタバレレビュー・内容・結末

2.9

このレビューはネタバレを含みます

 異世界アニメの皮を被ったスーパー御都合主義茶番劇。ただここまで馬鹿馬鹿しいと逆に面白くなってくるっていうか、ツッコミ所しかないけど、むしろツッコむ為のアニメなんだなと感じながら見ていた。
 まずこの作品は作品として破綻していると思う。なんだあのデタラメな主人公の能力は?知ってる場所であれば異世界でも元の世界でも自由にワープ出来るだぁ?
 ふざけんな。この能力のおかげで世界観に全く緊迫感が無いんだよ。だって異世界でどんなピンチになってもワープすりゃふかふかの自宅のベッドの上に帰れるんだから。
 てか崖から落ちて異世界転移したなら素直に異世界で暮らせや。ワープ能力手に入れたことで元の世界でも無事でしたなんていくら何でも物の道理に反し過ぎてるだろ。
 しかもこの能力後半には進化して触れた物どころか周囲の集団ごとワープ出来るようになる始末。お陰でクライマックスの人魔連合軍との国家間戦争も、現代武装の傭兵団による殺戮ショーに早変わり。
 正直主人公の能力こそがこの作品をダメにしている一番の茶番の原因だと思うね。
 そのくせクソ真面目に、異世界で活動を始める前に現代武器の銃の扱いをしっかり傭兵会社にアポ取って習いに行ったりする。正直そんなどうでもいいとここだわるならもうちょい全体の何でもあり感を何とかして欲しい。
 それから作品のタイトル通り、老後の為に異世界で八万枚の金貨を貯めるのはいいんだけれど、何故主人公はよりにもよって一番お金の貯まらなさそうな雑貨屋を選ぶんだよ!
 分かるよ……作者としては主人公が浅はかな考えで異世界の道具スゲェをやろうとしてるのを、でも実際中世に現代の道具持っていっても需要無かったり、使い方が理解されなかったりで売れやしない、現実はそんなに甘くない、そんな少し捻った事が描きたかったんだろ……でも、その前にあんたは主人公に道理を無視したワープ能力与えてんだよ。その時点で一ミリのリアリティも無いんだよ。案の定、雑貨屋ミツハは早々に描写薄になって主人公は王侯貴族御用達のコンサルタントになって、結局変わったことやろうとしてみんなと同じ事になってんだから意味ないだろ。
 後死んだ兄はでしゃばるな。死んでるくせに無駄にキャラ濃い、なのにつまらん。兄との絡みが本当に意味の無い時間過ぎてきつい。
 唯一良かったのは主人公ミツハの性格。この主人公、可憐な少女の見た目に反してめちゃくちゃ豪胆で狡賢く、腹黒い。多分ほぼ全ての場面で嘘ついてるこいつ。最初に貴族と仲良くなったのだって馬車に当たり屋工作仕掛けたからだし、元の世界でも傭兵会社のトップに良いとこのお嬢様だと嘯くし、やってることはほぼ詐欺師。だがこの性格の悪さが良い。ミツハが性格悪いお調子者だったからこのアニメはそこそこ面白かった。
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