前代未聞の超ポジティブなゾンビサバイバル。まさかゾンビ物で爽やかさを感じる日が来ようとは…と唸らされた一作。シリアスな側面も多々あれど、ここまでハイテンポでギャグベースで尚且つ明るい印象が残るゾンビ物はそうそう無い。そしてそんな愉快な世界観を支えているのが一貫性のあるテーマ、本作ではあらゆる場面で『抑圧からの解放』が描かれる。
現代日本社会は色々なしがらみの宝庫だ。職場、社会的立場、人間関係、過去の後悔、未来への不安。その全てが無くなった時、私達は何をやれば良いのか?そう、やりたい事をやれば良いのだ!そう力強く豪語するかのようにこの作品は突き進む。
主人公のアキラはブラック企業の社畜。精神を病んでいて、見える世界までも灰色がかっている。そんな彼がゾンビパニックで職場から解放。心の解放と共に世界もまた色彩を取り戻す。好きだった職場の先輩(社長の愛人であり職場で致してる様子を見て脳破壊させられた相手)の家に行き、そこにいた社長ゾンビを投げ飛ばして退職宣言、残されたゾンビの彼女に告白、そして100のやりたいことリストをつける、この爽快な吹っ切れ具合が堪らない。
心の解放、全てのしがらみが見えなくなったからこそ絶望的な世界で希望を見つけられる。そしてそれが時に人の救いになる。愉快な仲間も出来る。そしてしがらみに向き合う勇気も生まれる。
主人公の成長に伴い、彼らの生き様が段々羨ましくなってくる。そんな私達にこの作品はこう問い掛けてくる。しがらみに囚われるな!勇気を持って一歩踏み出そう!そんな背中を押してくれるような作品。