平田一

シュガーアップル・フェアリーテイル 第1クールの平田一のレビュー・感想・評価

1.0
“砂糖菓子に導かれた少女と妖精
2人の夢と恋が紡ぐ珠玉のおとぎ話”

三川みりさん原作の同名ラノベシリーズを「ハイスコアガール」のJ.C.STAFFさんでアニメ化。人間が妖精を使役する世界を生きる一人の少女と妖精の旅と恋が描かれる。監督は「プラネット・ウィズ」の鈴木洋平さん。7月に第2クールの放送が決まっている。

主人公は砂糖菓子職人を目指すアン。亡き母のあとを継いで、銀砂糖師を目指す彼女は用心棒として口の悪い戦士妖精のシャルを雇う。しかしアンは妖精の使役を嫌う性格で、シャルは絶賛人間不信。ちぐはぐな有り様に。

しかしそれは二人を変えるおとぎ話の幕開けだった――。

結論から申しますと、冬アニメのワーストです。原作は未読なので、そちらについては言えませんが、久方ぶりにイライラばっかり募る作品でしたね。

まずメチャクチャイラついたのは主人公のアンですね。別に彼女の心根自体は好感が持てますけれど、ハッキリ言って準備不足と無計画さが最悪です。例えば序盤の旅路の際に昔の地図を頼っていたり、アッサリ相手の口車に乗せられる無知さとか、考え無しに動いてばっかの体たらくなところとか、どこまで主役を無能に見せれば気が済むの? って気分です。別に無能と感じさせるキャラクターは良いんです。その中に共感できるところがあるなら応援するし、皆がみんな有能ばかりじゃ肩身が狭くなりますし……でもこれは作品上の都合が明け透けすぎるというか、今年の大河の台詞じゃないが「無能は害悪」過ぎますよ……まあ、中盤から挽回をどんどんやってくれるんですが、にしたって序盤のアンのこれは流石にどうなんだ……?

もっとも、それ以上に害悪なのは二組です。一組は第11話に登場したサミーです。強めな言葉で言ってしまうと「有害男性思考クズ」。ゴキブリにも遥かに劣る男尊女卑の権化というか、知能レベルがモンキー以下のゲスの極みでしたね。アンの才能認めぬどころか、直接的にアンの才能を潰そうとしていたり(冗談抜きで腕切断レベルの傷害未遂だし)、オマエ何で生きてんの?ってぐらいに嫌悪MAXです。

もう一人はペイジ工房の令嬢のブリジット。この子はサミーと別ベクトルの醜い差別思考だし、下種度合いはサミーに負けず劣らずで反吐が出る。見てる最中、アニメリタイアしようかなって思うほど……あのラストにしてもだけどホント最低過ぎますよ。

一応補足なんですが、別にゲスのキャラクターがいるのは良いんですよ。緩急と言っても良いし、要は山あり谷ありがなければ、話は単調な絵物語に過ぎません。ただ強調しすぎたら、作品全体のバランスがガッタガタになっちゃうし、露骨すぎて、露悪すぎて、全然楽しくないんです。例え最後にハッピーエンドが待っていたとしてもです。そこまでの積み上げがヘタなら冒涜同然です(もしかしたら原作自体も同様かもしれないが、もうちょっと差別や偏見テーマの作品調べたら?)……

『それでも夜は明ける』とか『自由への道』だとか、奴隷や差別や偏見を描いた素晴らしい作品は、露骨をかわし、考えさせるゆとりも存在するんです。このアニメは私見ですが、露骨に逃げて、一方的にキャラクターの表面的なところだけを押しつけがましく吹聴している作品……としかボクには見れません……久しぶりに心の底から「嫌い」なアニメに会ったなぁ……。

もうすぐ第2クールが放送とのことですが、100%倍速視聴でさっさと消化に入ります。
ムリだもん。これに費やす時間をさっさと終えたいもん……
平田一

平田一