八咫烏

REVENGERの八咫烏のレビュー・感想・評価

REVENGER(2023年製作のアニメ)
3.9
虚淵玄のアニメは観る事にしている。
1話目視聴。評価は全話観てから。

なるほど「利便屋」→ revenger ってワケね。
虚淵+時代劇+設定はまんま必殺仕事人。。
かなり沸るなぁ。
主人公の背景と、他の面々の顔を無駄なく観せてくれた第1話。上々の滑り出しじゃなかろうか。
今期は骨太な作品が多いが、中でもこれは期待大。

〈全話視聴後〉
藩主に騙され義父を殺し許嫁を死なせた
薩摩藩士、繰馬雷蔵が必殺仕事人である
リベンジャーとなる。
死んでも死にきれぬ恨みを抱えた依頼人達は
死の間際に小判を噛み、リベンジャーに
仇討ちを託す。。

舞台は長崎。和洋折衷な背景や衣装は華やか。
宗教味はあまり強くないがリーダーの幽烟はキリシタン。背中にマリア像をしょっていて、利便事の元締めは礼拝堂だったりと本家や類似作とは違う独自色を打ち出している。

だがやっぱり時代劇だし、特に女子受けを狙った
キャラクターもいないし、人外も出てこない。
作りはいたって硬派。
はっきり言って地味な作品ではあるが
ストーリーはなかなか良く出来ている。

当初薩摩藩による単純なアヘン密輸と思われた事件が、行方不明の積荷(大量のアヘン)
を巡り中国人街、イギリス、長崎会所の思惑が絡み合い、さらにサイコパスなキャラの登場で
日本中にアヘンが蔓延しかねない事態に
陥っていく。
そしてそれさえ利用し立ち回ろうとする礼拝堂。。

必殺仕事人と聞いて、最初は町民の恨みを
晴らす痛快時代劇かなぁと思っていたのだが
意外と人の業や私怨をテーマにした回はなく
一貫してアヘンを巡って暗躍する面々を始末していく流れ。
2クールあればまた違っていたのかもしれないが
アヘン絡みのエピソードに絞った事で
全体として纏まりがあったと思う。

ただキャラ達の掘り下げに関しては特に徹破(先生)にほとんど触れていなかったのが物足りなく、返す返すも全12話だったのが残念。

とはいえopや劇伴が良かったし、声優の演技も良かった。
雷蔵役の笠間純さんを自分は存じ上げなかったのだが、過去に苦悩する朴訥な薩摩藩士を好演していた。示現流の雄叫びも良く、ハマり役だったと思う。
鉄板の諏訪部さん率いる敵方のリベンジャー達も負けていない。退場の仕方がまたカッコいい。

そしてラスト2話を観れば、このアニメが描きたかった事が良くわかる。
非常に映画的なラストだった。
今の時代にこういうアニメを作るのが
虚淵玄だぜ。。
なかなか受け入れられない設定なのか
評価が思いのほか低いのは残念だが
自分としては色々な意味で結構痛快だった。
八咫烏

八咫烏