ヒーローを目指す正義感の強いスカイランド出身の女の子・ソラを主人公にプリキュアの異世界交流と日常を描いた物語。
シリーズ20周年の節目の作品。ソラとましろ二人のコンビを中心に据えた原点回帰的な側面もありつつ、チームに初めて男の子のプリキュア・ツバサや新成人のお姉さん・あげはが加入するなど新機軸も打ち出した。
最も魅力的だったのはキャラクターデザイン。元から「ラブライブ スーパースター」で知っていた斎藤さんの絵、絶対ニチアサにハマる!いつか担当して欲しいな~と思っていたらすぐ実現して笑った。シンプルだけどスタイリッシュで可愛らしい絵が好きだった。
一方で、肝心のストーリー面は個人的にはそれほどグッと来なかったかな~。ゲストキャラ少なく、敵のバックボーンも終盤になるまで描かず、プリキュアたちの日常エピソードにほとんどの尺を割いた大胆な構成。日常を主とした作品は他にもあるし意図自体は理解できるが、ちょっと極端過ぎた様な気がする。4人ないし5人の閉じた世界(学校もあまり出てこなかった)を起点とする展開は起伏が少なく、なんとなく全体的に薄味でパンチがない印象が最後までつきまとった。
キャラクターたちの心情描写は繊細でグッと来る話も色々あったが、日常に全振りした構成なら更に内面の深掘りの回が欲しかったかな。
気になったのが、重要な局面でソラとましろコンビが中心に据えられ、ツバサとあげはが蚊帳の外に置かれる場面が何度かあったこと。ツバサとあげはの方が好きという個人的感情もあるけど、挑戦枠として打ち出された二人が生かしきれていない印象でなんとなく勿体無かった。ツバサが男の子である(というか正確には妖精なのだが)ことに起因した話もないし、全体的に無難に纏めているという感じ。攻めてないからマイナスはないけど、大きなプラスも特にないみたいな。これなら最初からソラとましろの二人体制で良かったのではと正直感じたこともある...
ただ、敵のバックボーンが出てきた終盤は見応えがあり、終わりの畳み掛けは良かったと思う。ずっと友達・ずっと仲良し、将来はまだまだ分からないけどみんなでいる今がとっても楽しい!という最終回の結びは仲良しの日常を描いてきた本作だからこそのもので好きだ。住んでる世界が違ってもお別れなんて必要ない、は現代社会の現れみたい(現実にはなかなか難しいけど)。
これからもずっとみんな仲良しでいてくれ!!