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ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Rhyme Anima +のtubameのレビュー・感想・評価

4.3
帰ってくるのをずっと待ってた!!!!

武力が根絶され、争いが精神に干渉するヒプノシスマイクを使ったラップバトルに置き換えられた世界を舞台に各都市のチームの活躍を描いた、楽曲+ドラマCDから派生した作品。本作は2020年のアニメ化から3年の時を経て制作されたシーズン2である。「遊戯王」を手掛けた監督とスタッフが揃った結果、ホビーアニメ的な熱血少年漫画要素やダイナミックなオリジナル展開がふんだんに盛り込まれ、シリアスでハードな原作や単なるイケメン頼りのアニメとは一線を画すラップって楽しいを体現したような独自の明るい世界観を前作で確立した。結果的に本来のファン層を越え、配信先のニコニコ動画で性別を問わない盛り上がりが起きたことは象徴的な出来事だった。


今回は新キャラを交えてその雰囲気を踏襲しつつ、後半はややダーティな物語が展開した。
街を襲っていた敵の過酷なバックグラウンドは大いにモヤるポイントだ。しかしながらこれは原作が抱える矛盾点や課題が表出したものであって、アニメ製作陣を責める気にはあまりなれない。
今回の大きなトピックは前作のイケブクロ・ヨコハマ・シブヤ・シンジュクの4チームにヒプマイシリーズ途中参加のオオサカ・ナゴヤが登場したこと。総勢18人の大所帯だけど、これを捌ききっていたのは本当に凄かった。どのキャラに関しても魅力的に感じるシーンが用意されており、これはシナリオの欠点を補う美点であった(というか大人数を捌くためにシナリオに粗が生まれたのだろう...)。
中盤までは各回のゲストキャラにそこそこの尺を割く構成だったが、一般キャラと絡む姿を観ると登場人物がちゃんとその世界に生きている感じがして個人的にはそれも楽しかった。伝説の渡世人・風呂井戸宙次とかいう濃すぎる一般キャラを生み出す製作陣面ぶっ飛んでる。
どのチームもヤクザ、中学生、医師、作家、芸人、高校教師、僧侶etc.何でもありなメンバー揃いだけども、みんな仲間を大事にするし「俺達の街を守る!」意識が強くて結構良識的で優しいので安心して観れる。


また、前作のSecret Aliens同様今回のオリジナルキャラたちも皆魅力的で、彼らとのラップバトルは見応え充分。
相対する相手を諭す&主人公たちのアイデンティティを掛け合わせた曲、それを多様なフォントとアニメーション・CGを組み合わせて表現するのが物凄く凝ってて毎週とても楽しみだった。
印象に残った劇中ラップを敢えて1つだけ選ぶなら3話のナゴヤ回かな~。
メンバー3人をイメージする葬式・裁判・墓場からの地獄巡り。水墨画、メソポタミアぽい壁画からなだれ込むサビの曼陀羅、万華鏡...蜘蛛の糸で〆。何を言ってるのか全く分からないだろうが、映像を観ても全く分からないので安心して欲しい(?)。凄い映像だという事実だけが理解できる。
公式映像が最高。もう20回は見たけどなんか健康になる。
https://youtu.be/05ABpkUY4G8?si=_OoJ7B_sJ2LhumLC


正直ここ2年ほどヒプマイコンテンツを全く追わなくなってしまっていたのだが、本作に夢中になり再燃。
前はシンジュク推しだったが(今も好きだが)、ナゴヤ愛が大きくなりなんか急に天国獄(面倒見の良い35歳の敏腕弁護士)にはまり、グッズを飾るために部屋を片付け始めたら断捨離が止まらなくなり自分比最高レベルで滅茶苦茶綺麗な部屋になった。推しって凄いな。


話の粗とかつつこうと思えばつつけるけど、観る度に楽しい気持ちになれるという事実だけで自分の中では充分だし、お気に入りの作品だ。楽しい時間を有難う!
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