メモ魔

響け!ユーフォニアムのメモ魔のレビュー・感想・評価

響け!ユーフォニアム(2015年製作のアニメ)
3.9
いくら食いしばっても歯が浮わついてくるような、自分が自分を留めておけなくなるような、そんな悔しさを自分の中でどう育むかを学ぶ話だった。
この悔しさから派生して好きの感情を自分の中に確立する主人公も必見だった。

まずはさすがの京都アニメーション。
言葉なんてのは人の感情が表に出たほんの氷山の一角にすぎないことを強く念頭に置いたカメラワークがめちゃくちゃ良い。
人が行動を起こした時の周りの目線、眉の動き、体を反らせる仕草。人間関係を描く上で言葉より重要なファクターが京都アニメーションの描く日常にはありふれている。こういう見せ方をするアニメはキャラの行動一つ一つに意味があるんじゃないかと深く考えることができるから普通のアニメと比べてぐぐっと感情移入できる。
そして自分の経験した感情とその時の仕草がキャラと合致した時、誰よりもその感情を理解できた気になれる。
こうやって人それぞれの解釈が生まれていくんだなと感じた(人それぞれ体験してきた感情は違うからね)

各話の感想はそっちに書いてるからここでは総括のみにする。

総評
感情の多感な時期の学生に一つ目標を持たせてそれに全力を注がせること。
そしてそれをより忠実に描くこと。日常を美化するのではなく、日常のほんの小さな[特別]を自分だけが感じれて得をできた時のような。そんな日常を磨いて世に出してくれた作品だった。

じっくり見るには良い作品。
しかしこれでなくてはダメというような、来週の話を見るのが待ち遠しいと感じるような、そんな引き込まれる魅力は感じなかった。氷菓も同じような感想。
日常系が好きな自分からすると、日常系にバイアスがかかっていることを加味して周りにはおすすめするほど面白い作品とは思えなかった。
ここまで人気が出るのはやはり2期3期が死ぬほど面白いということなんだろうか。
もちろん面白くはあるのだが。

点数としては
3.9点
ここら辺かな。
4点は個人的に大台なんだけど、そこには一歩及ばずといったところ。
久美子と麗奈の少し暴走気味な部分や、麗奈が本番でソロを吹いている時の香織先輩と優子の顔をこれでもかと見せてくるのはちょっとやりすぎと感じた所、橋の上で久美子と秀一が叫びあうシーンなど、多少冷めてしまう(というか挿入する意味が難解すぎて俺には必要性を感じれなかった)シーンが所々あったのがマイナスポイント。

まあオーディション直前の麗奈に久美子が
[これは愛の告白]
っていきなり言い出すシーンは、
自分も麗奈のような特別になろうと必死で普通から掛け離れようと手を伸ばす久美子を感じることができて良いシーンではあるんだが。
後から考察したらこーゆーのを伝えたかったシーンなのか〜って思えるけど初見だとやっぱり違和感を感じるシーンに仕上がってしまってる気がする。

一旦ここまでかな。ワールドウォーZ見て時間ありそうなら2期も見てみようと思う。
人気のある作品には必ず万人受けする良さに加えてじっくり考えたい人のために用意されたギミックがふんだんに盛り込まれていることが多いものだ。だからこの作品も1期で未回収の伏線を2期以降で拾ってくれるのを期待。

特に田中先輩について、2期以降は深掘りして欲しい。
[全国か。そういえばそんなの目標にしてたんだったね]
これが本番直前に口から出てくる田中先輩の心境ってどんなだ?
それでいて本気で部活が終わってしまうのを悲しく感じている描写もある。
田中先輩は
[全国か思い出づくりなら、思い出づくりの方が優先だけど、思い出づくりのついでに全国行けるならそれが良いに決まってるじゃん]
みたいな考え方なのかな。んー、2期以降の田中先輩の動向が気になる。

あおい先輩はもう戻ってこないのーー????
[そんなの本気になれない理由を受験で言い訳してるだけじゃん!]
って久美子からあおい先輩に言って欲しい。
何事も本気になれないやつ(崖っぷちで戦えないやつ)は言い訳にした方も本気になれず結果を得られないことが多い。久美子のお姉ちゃんが良い例。
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