今から少し未来のサウジアラビア。小学6年生の少女マハは、住み慣れたリヤドから、家族と一緒に最先端スマート・シティ「ネオム(NEOM)」 へ引っ越しをすることになった。仲の良い友達と離れて寂しがるマハに、アスマおばあちゃんが、実際にあった昔ばなしをお話してくれた。その物語は、怪我をしてお腹を空かせた一匹の狼と砂漠の民が出会い、互いを深く思いやる心を育んだ物語だった。
オクサゴンでの生活にマハは馴染んでいなかった。それは、この街で自分のやりたい事が見つからず戸惑っていたせいだった。自分は何がしたいのか? そんな事を考えながら居眠りをして、星の世界の夢を見た。それは、遥か昔、北天の「極」の座をナーシュ(北極星)という偉大な星が守っていたというお話だった。ナーシュの七人の娘(北斗七星)たちは、父の大切な教えを受け継いでいくことを誓うのだった。
ある日、ライアンのクラスの黒板が、何者かに壊されてしまった。先生は壊した人に正直に名乗り出るように言ったが、生徒たちは沈黙を守る。その時、ライアンの親友のムハンナドが、自分が壊したと名乗り出て、ライアンは大いに戸惑った。なぜなら黒板を壊した犯人はライアンだったのだ。家で落ち込むライアンに、アスマおばあちゃんは、匿名の勇者となって世の中を正した市長の昔ばなしを語って聞かせる。
ライアンは、ゲームで一緒に遊んだ友達の元気がなかった事を心配する。ライアンの様子を見たアスマおばあちゃんは、昔ばなしをお話しした。昔、ネムネムという子供を好んで食う化け物に出会ってしまったマッスード少年は、「言うことを聞かなければ幼い弟を食う」と脅迫をされてしまう。マッスード少年は、脅迫を受けていることを誰にも相談できずに悩む。だが、彼の父は息子の様子に気がつき、ネムネムに立ちはだかるのだった。
休日も休まず働くマハのママ。パパは休みを取るように言うもママはうなずかない。そんな時、ママが昔から愛用していた古い鞄の紐が切れてしまった。途端にママは休みを取ると約束する。ママの急変に不思議がる子供たちに、アスマおばあちゃんは、「タンブーリの靴」という昔ばなしを聞かせる。それは、捨てても捨てても手元に戻ってくる不思議な靴のお話だった。果たして、その靴が運んでくるのは、不幸なのだろうか?
スルタンが撮影した写真が、コンテストで選ばれた。だが、自分の恥ずかしい写真をコンテストで発表されたライアンは、友達に笑われて、怒りが収まらずに仕返しをしようとする。そんなライアンに、アスマおばあちゃんが、「やられたらやり返すのはどうかねぇ」と、ある昔ばなしを聞かせる。それはお金の亡者となった医者と、真剣に医者を志す、心優しい弟子の物語だった。
アスマおばあちゃんに買ってもらったばかりのマイクロマイクロドローンを無くし、落ち込むスルタン。実は、マイクロドローンを持っていない友達に貸してあげて、無くなってしまったのだ。アスマおばあちゃんは、人に優しくすれば、その優しさが自分に返ってくる、と言い、昔ばなしを語る。それは、貧しくても心優しい家族に訪れた、幸運のお話しだった。
マハが楽しみにとっておいたお菓子が、誰かに食べられてしまった。その証拠を掴むため徹底的にお菓子を監視する体制を作ったマハ。そんなマハに、アスマおばあちゃんは、正義に敬意を払った人物、イヤスの昔ばなしを聞かせる。幼い頃から聡明だったイヤスは、長じて正義感の強い裁判官となる。そんな彼が幼き頃にやりこめた悪人サフアンが、イヤスに尻尾を掴ませずに悪事を行っていた。果たしてイヤスは証拠を掴む事が出来るのか?
病気で寝込んでしまったアスマおばあちゃんを元気づけようと、スルタンは、自分だけが知っているという昔ばなしを話すことにした。行方不明の父の無事を願って母が作ったモロヘイヤ料理。それを三人兄弟が諍いで台無しにしてしまった。反省した三兄弟は、力を合わせてモロヘイヤ料理を作り直そうとするが、父の好物の自家製モロヘイヤは、刈り尽くされてしまっていた。三兄弟が呆然とするその時、奇跡が起きるのだった。
ライアンはサッカーの試合で、相手チームの体の大きい選手に怯え、体が動かずにボールを取られて、得点を決められてしまった。恐怖に怯えてしまった自分を恥ずかしく思い、元気がないライアンに、アマスおばあちゃんはサールーという化け物に立ち向かったナフラとネフラという双子姉妹の、昔ばなしを聞かせる。勇気のあり方は、無鉄砲に挑む事だけでは無いと悟ったライアンは、次の試合で怖さと向き合うのだった。
ホログラムでできた未来のフィールドアスレチック場で、ボルダリングなどのアトラクションで遊ぶ、マハたち。しかし、スルタンは身長制限の為に、マハたちと同じアトラクションで遊ぶことができない。そこでスルタンは、高齢者用のパワースーツを着用してみるが、パワースーツが暴走してしまった! 悲しむスルタンに、アスマおばあちゃんは、力を持て余してしまった悪いジンのマイムーンについての昔ばなしを語った。
ライアンが用意したゲームは、人間をスキャンすることで、ゲームキャラクターを作り、測定したその人の能力をキャラクターに反映することができるというものだった。自分の能力が高く反映されて喜ぶライアンだったが、能力が低く測定されて、がっかりするスルタン。勝手にスキャンされて失礼だと怒るマハ。そんな3人に、アスマおばあちゃんは、人を見る目について知恵を授けてくれた、ある人魚についての昔ばなしを語った。
マハは仮想空間で、自らが考える未来の世界を造ったが、何かが足りないと感じていた。そんな時、アスマおばあちゃんが話してくれた昔ばなしの舞台となった土地にパパが行った事があると知った。自分たちも同じ体験をしたいと、三人はパパと共に冒険に出る。子どもたちは旅を通じて、アスマおばあちゃんから聞いた昔ばなしの数々が、そして感じたワクワクした心が、自分の人生において宝物になっていることに気が付くのだった。