ご都合主義にして商業主義の極みであるアメコミヒーローを今や蔑視するレベルにまで落ち込んでいてスーパーマンをなろう系パンツマントと罵っている。ジェームズ・ガンの新しいのが好評でイスラエルを皮肉ってるらしいと聞いてもだから何だって言うんです。アメリカン資本主義に骨の髄まで毒された白人ファンタジーが批判したフリをしてこれが現代の希望！なんて思えるような楽観的な頭はもうできないんですよ。世界中で現実が狂ってるんだぞ。死んでも生き返り別世界に転生するパンツマントや空飛ぶ犬如きが現実の代弁者を気取るな！

しかしこれが荒唐無稽なマンガと割り切った牧歌的な内容なら口うるさくは言わずにむしろ楽しめる。クリストファー・リーヴ版やこのアニメのように賢いフリをして現実世界に侵食しないやつ。間の抜けた格好で間の抜けたことをたまにしながらも純粋に善を成そうとするクラーク＝スーパーマンに対してツッコミ入れても本気で罵るなんて野暮なことしませんって。

1話完結でテンポよく現れるヴィランは尺に相応しく簡潔ながらツボを押さえた演出で印象を残す。聞いたことのあったオモチャ使いのトイマン。悲しい過去持ちで心を病んでいるが、昨今の実写映画スーパーヴィラン（笑）のように語られすぎないのが彼の底知れなさを逆に想像させる。だって子供向けマンガのキャラで実際はどうしてもバカげてるのだから、深掘りしたらボロが出るの。ジョーカーのような自分語り大好きな5流芸人とは違い自分をよくわかっている。サイボーグ化して感覚をなくしたメタロの悲哀もありがちだが分かりやすく王道物語には通じる。そして何と言ってもレックス・ルーサー。大物でありながら小物。悪事は躊躇ないのに、ラナに裏切られてて本気で傷ついてる人間味が良い。こういう俗なとこが強いからスーパーマンの宿敵として相応しいんじゃないの？超然としたルーサーなんてつまらん。ジェシー・アイゼンバーグのクソオタクは失せろ！

バットマンアニメで有名なブルース・ティムのお仕事で女性キャラが可愛い。ロイス・レーンはコケティッシュなチャームさを見せながら、よくヴィランへ積極的に殴りかかる剛の者。無謀な反骨心に義侠心と言いますか。今時の"強い女性キャラ"のように眉間に皺を寄せているだけの記号じゃない可愛さと強さ。マンガ的表現の方が実写より厚みを感じるようになったという…それとこのアニメから生まれたルーサーの秘書マーシー。ハーレイクイン程ではないけどこの人も逆輸入される人気があったはず。DCの映画には出てたがよく覚えてないですね。どうせ実写では暴力を振るうことを強さや自由と履き違えたマーゴットハーレイみたいに酷いキャラになるから持ち上げられなくて正解。アメコミなんてアニメだけで良いのさ。