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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズのdendohのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

敵も味方も上層部も部下も女性だらけの『水星』の後に見ると、鉄華団もギャラルホルンも男まみれ。タービンズメンバーやメリビットが加わる頃にはまあまあ解消されるものの、それでも何だかんだパイロットやクルーとして女性キャラが多いガンダムシリーズの中にありながら、本作はGガンダム並みのホモソーシャルアニメだ。

その一方、岡田麿里脚本の妙なのか、クーデリアxアトラとかクーデリアxフミタンと言った良質のシスターフッドを描けているのは、実はガンダムとしては非常に珍しいと思う。2期には同性愛者の描写もあるとの事から、『鉄血』の撒いた種が、一貫して女性カップルを主役に据えた『水星』に繋がってるとも解釈できる(内情は知らないけど)

またタービンズはただの個人的なハーレムではなく、女性の保護シェルターの役割も果たしており、これも単なるホモソアニメに留まっていないと感じられるポイント。

主役の片割れと言ってよいオルガはネットミーム化したネタキャラのイメージと反して、物凄い良い兄貴キャラだ。少なくとも鉄血1stシーズンのストーリーは、オルガとクーデリアによって回されていると言って差し支えない。ブライト艦長と比べ実年齢も精神年齢も低い彼らが、苦悩しながら大人と渡り合い、鉄華団を引っ張っていくのは好印象。
主人公の三日月が超人然としている(たまにサイコパスっぽい上、年齢相応に色欲もある)分、男気あふれるオルガがより輝いて見える。 

オルガを筆頭とする鉄華団が魅力的に描かれる一方、敵勢力には全く面白みがないと感じた。マクギリスなんぞはお約束的に仮面を被り、自組織の改革を目論みながら友人を殺すシャアもどきとしか認識できなかった。強いて言えばオルドナ・ポセイダルのような見た目のカルタ・イシューは、少々戯画的な性格付けとは言え好みではあるのだが、すぐに退場してしまったのが残念である。

メカ描写については、宇宙船においては、アクロバティックな戦艦バトルも魅力的だ。
MSは敵も味方も物理攻撃メインで戦うというのは、リアルロボットアニメとしては前代未聞だが、物理武器によりコクピットを攻撃しあう泥臭いバトルは本作最大の特徴にもなっている。結果的に戦死者もMSの爆発のような派手な死に方ではなく、コクピットで圧死/失血死等のパターンでエグく死亡するケースが多い(1stシーズン末期になると、流石にやり過ぎて興ざめ感はある)

...というわけで水星ロスの穴埋めにはならなかったが、十二分に魅力的な作品と感じた。水星のアーシアン目線を補完していると観たら面白いかも?

ここから問題作とも言われる2期。結末は何と無く知っているが、その過程がどう描かれるか、楽しんで視聴したい。
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