ゆず

シドニアの騎士のゆずのレビュー・感想・評価

シドニアの騎士(2014年製作のアニメ)
3.5
劇場版観たことがあるけどおさらいのつもりで再放送見てみたらほとんど忘れてたな。
憶えてたエピソードって長道と星白の星空デート(意訳)の話くらいで、それ以降のエピソードは初見のような気がしてしまった。(補助脳に情報を封印してるので)
逆にそれくらいあのエピソードが印象的だったということで、特に幕引きの良さが好きだった。宇宙SFで人型兵器で他の生命体との戦争を描く作品の中で、<掌位>なんていうちょっと心暖まる(?)要素が出てくるのが面白い。
複数の機体で手を繋ぎ一体となることで推進力が倍増される<掌位>。科学的な推進力アップの方法の中に、「手を繋ぐ」というとても日常的で変哲のないプロセスが混じっているのは、センスあるなあと思う。

<掌位>で心暖まる一方、<斜め加速>には背筋が凍った。
見慣れた日常の景色が一瞬で阿鼻叫喚の地獄絵図へと変わり、播種船シドニアは襲い来る謎の生命体から人類を辛うじて守っているだけの小さく脆い鳥籠のようなものだということを思い知らされる。
本作は、全体的に血の通っていないような雰囲気が常にあるような気がする。人間の命は(戦時中なので)当然のように軽視され、全体主義が蔓延っているような節がある。
上手く言えないが、友人や兄弟はいても、本当の意味での「家族」は誰にもいない…みたいな、どこかそんな雰囲気を感じる。
それらはある種の緊張感を生み、宇宙に生存圏を求めることの困難さや、無慈悲な戦闘の悲惨さをより浮き上がらせる。
作品の冷酷な部分が強調される分だけ、<掌位>やクマ寮母やお祭りといった日常的なホッとするものも、より際立つのかもしれない。とはいえ、その「日常」もいつ終わるかもしれないという影が付き纏っている…。

で、個人的に緊張感をぶち壊してくれるのが、意外にもオープニング曲である。
angelaによる軍歌を想起させる、本来はカッコイイ曲なのだが、私は何故か聞く度にニヤついてしまう。だって、春アニメ「はめふら」(正しいタイトルは長いので割愛)で、angelaのかなり面白くて楽しい曲を聴いてしまったんだもの。むしろ「はめふら」のオープニングでangelaを初めて認知したところある…。めっちゃオモロい人たちなんだな、と認識したばかりなんだもの…。
だから、真面目にカッコイイ曲を歌っててもなんか笑えるところを見つけてしまうのよね…。
ゆず

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