平田一

革命機ヴァルヴレイヴ 2ndシーズンの平田一のレビュー・感想・評価

4.8
“世界が曝かれる”

2013年4月から分割2クールで始まったサンライズ制作のオリジナルロボットアニメ。正体不明の霊長兵器「ヴァルヴレイヴ」に遭遇した少年少女に秘匿を選んだ世界が牙を剥けてくる。第2クールたる本作では世界の裏で暗躍してきた「マギウス」なる存在とヴァルヴレイヴが産み落とされた経緯などが曝かれる。制御不能の「呪い」によって崩壊する安い秩序、他者や世界のためという偽善にまみれた醜いウソが主人公らに跳ね返る因果応報からにも逃げない地獄絵図と未来を諦めない行く末が描かれる。

世界の裏で暗躍している「マギウス」なる存在にハルトたちは気付かないまま、試練を突き付けられていく。ヴァルヴレイヴの誕生、ウソと偽善を選んだ代償、愛する人を守るために選ばなければならないもの…

やがて迎える地獄の先でハルトたちが選んだものはーー

早いものでヴァルヴレイヴもあっという間に完走です。相変わらず濃密な内容もさることながら、久しぶりにイレギュラーが傑作に結び付くって、まるで『地獄の黙示録』や『ブレードランナー』などといった舞台裏も引っ括めて名作だった70・80年代の作品みたいなジェットコースターに降参ですw

しかも何の因果なのか、丁度政府の不祥事が大きく取り沙汰されている、まさに「秘密」に逆襲される様には言葉が出ませんね。

ヴァルヴレイヴ第2クールはまさに秘密に足元を掬われるハルトたち、軽率な正義の言葉がどれだけ安っぽいのかを突きつけられるすべてのキャラの行く末が描かれて、1期の倍は死者も増加の地獄絵図に直結です。

極めつけは第8話の「暴かれたカミツキ」からの第9話「嘘の代償」での分断ぶりですね。お互いへの気遣いがいつしか相手を失うことの恐れに塗り替えられていて、気付いたときには修復不能の末期症状だったという、気遣いの履き違えが存分に出てました。そこでショーコが選んだことが結果として大好きなハルトを破滅に追いやって、ハルトもまた永遠にショーコと分かり合えずという最悪の決別に繋がったのが凄まじく、そこからの犬塚先輩と南里侑香さんの劇中歌(「Mother land」)、悔しがるサンダーこと山田君も哀しくて、ヴァルヴレイヴの本領発揮と言って良いほどツラかった…流石後にDEVILMANで伝説の第9話の設計図(脚本)を書ききった大河内さんですね。

勿論クライマックスで逆襲も描かれて、突破口が今日的なところも面白いですが、これは是非興味があったらノベライズの一読を(かなりアニメと大きく異なる要素もあるので楽しいです)!

まとめるとイデオン級にキツい描写もあったけど、10周年にこうして再訪出来て感謝の作品です。改めてヴァルヴレイヴはネタ枠含めて面白く、望みは薄しを承知の上で続きやって欲しいです。

サキがあれから何を思い、戦い続けていたとかね。
平田一

平田一