このレビューはネタバレを含みます
“これは、
これまでと、
これからの物語。”
2014年から第1期の放送がスタートし、17年には先行上映版と第2期が放送された「結城友奈は勇者であるシリーズ」の第3期。最初はてっきり「勇者の章」の後日譚かと思っていたら(間違ってはいませんでしたが)、実際はこれまでとこれからの物語。ざっくり言うなら「ルパン三世 PART 5」と通ずる試み、
これまでを全肯定する集大成回アニメ。
全体的には過去シリーズを別側面から迫っていって、勇者の章の終幕へと至っていくって内容で、その後の話じゃないんかいってツッコミはあるでしょう(実際ボクがそうでした)w
その上前作とは違い、戦闘場面は3DCGが中心で、これは本音を申し上げると、前シリーズに軍配です。某アイドルアニメにおける演奏パートじゃないんだから、これは手書きで存分に暴れさせてほしかった。そこもあって過去作よりかはちょっと評価が低めです。
ですがその分内容がかなりの大ボリュームです。これまでの勇者たちと防人の物語。理不尽に怒りを隠せず、狂気に呑まれて死んだ勇者……如何に歴史が紡がれていったかがハッキリし、同時に無知が勇者たちの心を殺してしまったか……白にも黒にも偏ることを許さぬドラマは健在で、それどころか凄惨度合いはシリーズ最凶クラスかと。
特に初代勇者である乃木若葉の話なんか、狂気と凶器と、残酷極まるドラマに満ちてて強烈でした。まるでベトナム帰還兵を糾弾する国民たちに、憤るジョン・ランボーに通ずる嘆きさえありました。
凄惨な歴史の裏で消されていった勇者たち、その勇者が切に未来へ託そうとしたものや、その先の勇者部もとい、友奈たちの決断と、初見でもしも切ろうものなら勿体ないとお伝え出来ます。
未来とは過去も知って、それからの道である。
何かの名言みたいになったが、ラストの勇者部はそれです。あのラストの友奈の笑顔がすべての答えでメッセージ。この時代に作った意味が結構伝わる結末でした。
可愛い女の子を追いかけるだけに見るも良しですし(相変わらず友奈×夏凜ペアにニヤニヤです)、何故ゆゆゆがこの時代に次章を敢えて出したのか?その意図を考察していくだけでも価値は十分あるし、「大満開の章」に込めたものを色々探してほしい。
ボクはここに“祈り”のようなものを感じた気がしたし。