ゆゆ

翠星のガルガンティアのゆゆのレビュー・感想・評価

翠星のガルガンティア(2013年製作のアニメ)
4.7
1話からめちゃくちゃ印象が良い!
物語を円滑に進めるために基本的に漫画やアニメの世界では言語が統一されていたり違う言語を用いる人が出ないもしくは画面下に翻訳された言葉が文字として表示されたりカタコトで意思疎通は可能なことが多い。
けどこのアニメは一番最初、レドと地球の人たちの言語が違っててロボットが言語を解析して初めて意思疎通が取れた。こういう描写って大抵のアニメでは省略される部分だから実際その状況になったらそうなるに決まってるよね、って部分を一話で丁寧に描いてくれて、それをロボットがその場で解析、翻訳するっていうのも優れた技術が搭載されているのが描写されてるのがまず良い。
そんな描写が丁寧にあるからこそレドが初めて相手の言語で「ありがとう」とぎこちなく発することがすごく暖かくて、なんていうかかつて人類が初めて他の大陸の人間と出会った時もこうやってぎこちなく暖かくコミュニケーションを重ねてお互いの言語を理解しあっていったのかなあ、とか思った。もう今を生きてる自分は外国の言葉を知りたかったら辞典やネットを調べれば簡単に分かるけどその言葉が何を意味するのか解明した先人達はすごいな。


レドが人間になる物語だったなと思う。軍人って多分感情どうこうよりも規律に従わなきゃ組織として瓦解しかねなくて、それが正しいと生まれた時から刷り込まれてたら現状がおかしいって気づく機会すらない。そんなレドが言葉の通じない相手と出会って不器用に交流して、その地で生きる人の考え方や思想を知って、集団の中での自分の役割を探して、自分の感情を知って、エイミー達にそんな思いをさせたくなくて戦う決意をして、真実を知って。
正直目を惹くような展開とか熱いシーンがあるわけじゃないから瞬間火力の高い面白さではないんだけど、暖かくて美しい物語だと感じた。ジャンクフードは確かに美味しいけどあっさり薄味の和食だって美味しいよねみたいなそういう分類の好き。

あとやっぱり機械が汚い言葉を使うシーンってめちゃくちゃ好き。機械に感情を感じられるから。
大佐の方の話を見るとストライカーはやっぱり悪いように見えるけど絶対に間違ってる!悪だ!!!ってわけでもない気がして、レドが出会った人達が良かったしそのレドの支援を目的とするチェインバーが最後ああいう行動をするのは納得できるし大佐とストライカーがああなるのもまああの環境でああなら理解はできる。
レドやガルガンティアが正しく見えるけど「正義」って立場とか情報で簡単に変わって見えるし正義の反対は正義なんだろうな、と思った。


レドがこれから先幸せに生きることができているといいな。エイミーの側にいるならきっとしあわせになれるだろうなと思える。心が温かくなって、うん、このアニメ好きだなあ、と思う。
ゆゆ

ゆゆ