ブタブタ

キャシアン・アンドーのブタブタのレビュー・感想・評価

キャシアン・アンドー(2022年製作のドラマ)
5.0
最終話視聴したので追加。
終わった!
大勝利スターウォーズ・ドラマだった!!
最終話冒頭でいきなり「アント・クリーガー一派全滅(予定通り)」とか、最後の最後までハードすぎる。
正直、最終話はマーヴァの葬儀と帝国パワーステーション襲撃を交互に描くかと思いきやそんな派手展開はなし。
『キャシアン・アンドー』は帝国への反乱はひと握りの英雄、勇者によるものではなく民衆の蜂起で始まるって事を徹底的に描いて、其れはやがて英雄となるキャシアン・アンドーですら真の意味での「主役」では無いって事を12回も掛けて描いんたんだと思う。

ポストクレジットシーンでのS2へと続く皮肉が効いたラストもいい( ˙꒳˙ )っ⌒★。.

ただ贅沢を言えばもう少しソウゲレラの活躍を見たかったところ。
S2が心底楽しみなネ申ドラマでした。



エピソード789が結果的に箸にも棒にもかからない大駄作三部作だったせいでSWってジャンル自体が下り坂。
『マンダロリアン』がマグレの一発でないとこをここらで一発期待したい。
『マンダロリアン』の更にスピンオフである『ボバ・フェット』は面白かったけどSW最後の過去の遺産とも言うべきボバ・フェットを使い切って、それでもドラマの出来としては及第点くらいだったし。
Disney➕MARVELドラマや今やってるロード・オブ・ザ・リングの駄目ドラマでも最近顕著なのが面白いドラマを作るって事がおざなりになってるみたいな過去の人気キャラクター頼り。
『オビワン』てゴミ見せられて不安な中始まった『アンドー』ですが『ローグワン』のスピンオフで更に前日譚、直接的にエピソード4へと繋がってる話しで或る意味エピソード123よりも456と完全に地続きとも言える。
まだ5話ですがこのまま行けば5億点ドラマになるんじゃないでしょうか。
画面が暗いってクレーム多数だけど本作は「フィルム・ノワール」であり敢えてやってると思う。

1~3話はこの世界をじっくり描くと言うかスローペースでしたけど、SW(ここで言うSWは456のみです)では殆ど描かれなかった「帝国を構成するシステムや軍の組織系統」等を描いて、常にストームトルーパーの奥に居る殆ど背景でしかない「帝国軍人」達がメインの敵として時間を使って描かれてる。
更には帝国支配下の帝国の協力者達や巨大企業、この暗黒時代を構成してるのは帝国だけでなく其れに従う全ての一般市民迄が敵として認識せざるを得ない絶望感が充満してて光と闇のファンタジーである『スターウォーズ』に至る迄にその下地作りみたいな物は全部この「名も無き戦士」の力だったのだってプロローグがいい。
SWの直接的前編ながら其れに甘んじず明らかに違う事をやろうとしてる。

『囚われた国家』はケン・ローチの影響や『影の軍隊』『アルジェの戦い』のSF版をやろうとしたらしいけどアンドーも其れのSW版であり、強大な支配者、軍事国家に挑むレジスタンスの絶望的な戦い。

反乱軍の勃興とその発火点となったのはジェダイでも選ばれし者でも何でもないただのコソドロでありチンピラみたいな一人の男であり、やがて反乱の英雄となる〈キャシアン・アンドー〉は勿論主人公であると同時に全てを動かし全てを変えていく言わばこのドラマの中心に位置するマクガフィンでもある。(コレってあるべき主人公の姿だと思うけど最近そういうのが少ない気がする)

帝国支配下の社会は嘗てのソ連を宗主国とする東欧の共産主義国家みたいでもあり一話冒頭のバーの場面とか『時計じかけのオレンジ』みたいな経済が失敗した資本主義社会の末期にも見える。
ここでの企業保安員とのアンドーの余りにくだらないイザコザから殺人、其れが結果としてデス・スター破壊、帝国滅亡迄行くんだから感動的。

この1~3話迄の雰囲気って『ソラリス』みたいな東欧・共産圏の遠未来SFの世界に見える。
殺人に端を発するサスペンスでありテクノスリラー、そして帝国基地襲撃を始まりとする〈反乱〉の幕がいよいよ上がる。

6話ラストのあの場面で何者でもないアンドーがいよいよ正義・大義に目覚めて行くのが分かるし、そして何より期待してるのが実写版ソウ・ゲレラの本格的登場。
ソウ・ゲレラって言わばSWにおけるビンラディンだし帝国に対する「テロ戦争」が描かれると思う。

この時点で大勝利ドラマだと思うけど不満点を言えば1~3話のアンドー過去編と現在が行ったり来たりするのが要らなかった。
過去編はワンシーンで終わらせて1~3話は二時間くらいに纏めて充分一話に出来た内容だと思う。
ともあれ久々にDisney➕のSW及びMARVELで気合い入れて見るドラマが来たなーという感じ。
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