どらどら

さまよう刃のどらどらのレビュー・感想・評価

さまよう刃(2021年製作のドラマ)
4.8
地上波では成立し得ない残酷さが際立ち、本当に心が重く沈む。”岬の兄妹”の片山演出はこの作品の空気にぴったりマッチしていた。シーンシーンで、印象に残るところがとても多い。

少年たち三人(特にカイジ)と娘は、皆ほぼ初見な気がするけど、すごい。竹野内豊に食われていないどころか、作品の説得力を大いに引き上げている。

ただ、親の無関心•歪んだ愛情•貧困と少年三人の非行に婉曲的ではあるがエクスキューズを設けていることには若干の違和感。まるっきりのクズでも成立する物語だし、その方が作品の強度は上がる気がする。

あとこれは原作の問題なのだが、個人的には最も重要な問いから逃げているようなラストだと思う。広げに広げた大風呂敷が、あのラストで回収されるのはいくらなんでも無理がある。教訓めいたことを石田ゆり子と國村隼に言わせても、逆に浅薄になってしまう。

瀧内公美演じる記者のクズさが、普段この手の事件に対して野次馬根性剥き出しの我々、ひいてはこの物語を視聴する/しようと思った我々のクズさである。そこは目を逸らしてはならないと思った。
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