Toro

どうする家康のToroのレビュー・感想・評価

どうする家康(2023年製作のドラマ)
3.5
歴史とは勝者の記録によって紡がれてきたものであって、そこには勝者の記録が色濃く反映される。その主観が後世の人間にはだいたいそうだったのだろうと記憶されていく。
その繰り返しのなかに今の時代と歴史があって、本当の当時の事実というのは誰にもわからない。
だからこそ、歴史を描くというのは面白く、それゆえに描かれる時代によって解釈があるのが必然でありまた運命なのだと思う。

そういう楽しみ方があるということを1年を通して描き切ってくれた面白い大河ドラマだった。

戦なき世を作るという大望の果てなき道を情け無く力のないものが、時代に流されながら人の手、人との別れを繰り返して一歩ずつゆっくりと成し得た軌跡のうえに今の僕がいるということに感動さえ覚える、そんな時代劇であったと思う。

たしかに序盤はなんとも言えない家康像と展開の歯痒さというかチープさを感じる場面はあったものの、後半になるにつれ家康に刻まれる皺のように濃さと重さが増していったように思う。ちょいちょい挟まる茶番劇はハマれなかったが。。

松潤の演技が。。と言われる記事やSNSの投稿をみたこともあったが、最後に狸と化した立ち振る舞いを見れば、そことの対比は個人的に好きだった。

兎に角家康という人を情け無く描くあまり、周りの人間が輝きまた魅力的に映る描写をしているように感じることが、まさに今作のテーマに沿ったものなのだと思う。

どうする家康と最後まで問いかけたその一貫性がまさに今作の家康の歴史として僕には記憶することができた。

歴史を知る楽しさも役者を見る楽しさも同時に感じられて観て良かったと思える終わり方だった!

とはいえ、気分が乗らない前半であったことは間違いないのでスコアは低め。ただ離脱組は勿体なかったのではないかなと。あとエンタメ好きではなく、歴史好きという方もどうやら向いてはいなかった様子。

演技面のMVPは北川景子です。
凛とした美しさと魅惑的な美しさを見事に見せつけてくれました。
準MVPはムロツヨシ。最高の秀吉だったで。。!!!


世界史でも類を見ない長く平和な江戸時代という確たる事実を作り上げた人々に、時々でいいから手を合わせたくなる。
そんな作品になった。
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