どらどら

息をひそめてのどらどらのレビュー・感想・評価

息をひそめて(2021年製作のドラマ)
4.8
-人も街も全ては無くなる

息もできなかった毎日、やっと呼吸できたと思った場所は簡単に壊されそうになる
帰りたい場所がなかった、気がついたら帰れる場所さえ無くなっていた
君を失って世界は変わった、世界は勝手に劇的に変わっていた
好きな人はいなくなり、好きな場所は元々なかった
世界が喪失を嘆く中、全部どこか他人事だった

それでも
生きる理由に気がついたとき
自分が誰かの帰れる場所になったとき
世界は今も昔も変わらず美しいことに気がついたとき
普通の街と暮らしの優しさに包まれたとき
窓の外に、世界に、自分で踏み出したとき
時計は動き始める
否、川はずっと流れていたのだ

生きる
息をひそめて
_________________________________
Filmarks試写会で、1~4,8話を拝見
舞台挨拶に、中川監督、斎藤工さん、夏帆さん、蒔田彩珠さん、萩原利久さん登壇
憧れの人ばかりの舞台挨拶をめちゃめちゃ前で見られて幸せすぎて始まる前に死にかけました
(特に事前告知のなかった蒔田さん!同じ世界に生きている方なんだと当然のことを思いながら、”朝が来る”を思い出してしまい、舞台上で笑っている姿を見られただけでなんだか幸せ)

中川監督の作品の大ファンだが、本作も今までの作品と共通のテーマに貫かれていた
静かな画面、フィクションとノンフィクションの境界線さえ消え失せる自然な演出の数々、何より変わりゆく街のモチーフなどなどHulu配信の本作を劇場で見られた興奮が止まらない

一話目の夏帆さんの表情の数々に胸を掴まれ
二話目の石井杏奈さん、萩原さんの温かさに心をほぐされ
三話目の村上虹郎さんと安達祐実さんの切実さに体を切り裂かれ
四話目の蒔田さんの柔らかな表情の数々と光石研さんの愛情に包まれて
ラストは僕も穏やかな涙を流した

とても素敵なドラマで、こうして劇場で観られたことに多いに感謝します
斎藤工さんのおっしゃっていたように蒔田さんが”朝が来る”のひかりに重なり、彼女の今の暮らしがこうやって人の暖かさに溢れていたらいいなぁと思わずにはいられなかった
どらどら

どらどら