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大豆田とわ子と三人の元夫のkaitomoのレビュー・感想・評価

大豆田とわ子と三人の元夫(2021年製作のドラマ)
4.2
センスの良いセリフ、キャラクターの魅力、細かい気の利いた演出が突出していて、大筋だけで観ると何も起こっていないドラマなのに、笑えて、グッと来て、引き込まれる爽やかな作品。
一話観た時点では、地味な日常系コメディという印象だった。岡田将生演じるシンシンの「●●っていります?」という物言いにイラっと来て、こんなやつがメインキャラなのかと少し引いていた。が、二話目から既に嫌な理論派キャラのイメージを覆してきて感情的なキャラクターだということが分かる。最終的には一番愛しいキャラクターになった(一番成長したのでは)。
松たか子演じる大豆田とわ子は、器が大きくてさっぱりしてて明るく見えるが、社長をやるには気づかいがちで小心で常に悩んでいる。自立しててナチュラルで非常に魅力的である。そりゃあ、モテますわ。
03角田氏演じる鹿太郎は、コントの延長線の演技にも見えるのに違和感なくドラマに溶け込み、笑いどころを大量に作ってくれていた。明らかに気の合わなさそうなシンシンと徐々に仲良くなっていくのも含め、二人のやりとりが、ずっと最高である。
と、細かく書いてるときりがないほど、各登場人物に愛着が湧く。あからさまに嫌なやつは出てきても、早々に退場するので、ストレスはあまりかからない。
前編の最終回は、エピソードが混在する中で描かれたある事件に困惑した。クソ社長とのバトルとその後処理は見処になるシーンだったはずなのに、そんな最中にそんな事件をぶつけるなんて…。
全て観終わると「人生」を描いた作品として不可欠な要素だった事は分かるのだが、その挿入の仕方があまりに乱暴だったように思えて、ちょっと消化しきれない。
しかし、後半出てきたオダジョーの、死生観の真理を突くようなセリフは刺さった。二重人格のような濃いキャラクターだったが、大豆田とわ子は変人を受け入れる器が凄い。
ともかく、大豆田とわ子が最高だってことですね。
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