〜ひとり親入門書〜
現在ゼミ課題のドキュメンタリー番組制作で「ひとり親」をテーマに進めているのだが、本作を見てしまったら自身の番組がバカらしくなってしまった。
それ程までに本シリーズでは、アメリカにおける(日本でも言える)貧困シングルマザーのリアルな様を見事なまでに描いている。
子供と身一つでの夜逃げ。複雑すぎる政府の支援。精神的DVの社会的弱さ。頼ることのできない両親。そして気づけば逃げてきたはずの家に戻ってきてしまう。
度々訪れる多くの災い。どこにも逃げ場などないのか。
その絶望の中で娘マディは眩しいほどの希望をもたらしてくれる。
それら二つの要素の演出の出し入れがなんとも巧妙で、気づけばマーガレット•クアリー演じるアレックスに感情に浸ってしまう。
それはアレックスの精神描写がとてもリアルに描かれている事も大きく作用している。
娘のために強く生きようと奮闘しようが、性欲や孤独感は溜まっていき、何一つ上手くいかない状況に苛立ってしまうものだ。
だがそれでも娘に一度もきつく当たらず、常に優しいお母さんを務めるアレックス。
鑑賞者からすると大好きにならない訳がないのだ。
見事なまでに感情表現を心得た撮影技術に、希望をより華やかにする音楽の数々。
『Once upon a time in Hollywood』のビッチガールとは考えられないマーガレット•クアリーの演技もまた見どころの一つだ。
【SUMMARY】
テーマ『ひとり親』で映像作品を作る上で、フィクションの枠ではこれ以上を想像できない程の傑作であった。ドキュメンタリーとフィクション作品との違いを考える良い機会にもなった。
そしてなによりも、、
マディちゃん!可愛すぎるよ!!