たま

想い出づくり。のたまのネタバレレビュー・内容・結末

想い出づくり。(1981年製作のドラマ)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

90年代前後のドラマはトレンディのイメージで糸口が見つけやすいけど、80年代前半とかそれ以前は渡鬼とか倉本聰とかそんなテキトーな思い込みで田舎臭くて距離感があったわけです。ドラマ史に山田太一という脚本家がいることは知っていたけれど『早春スケッチブック』とか『岸辺のアルバム』とか、響きでなんだか浮かれた感じなくて敬遠してたけど、ちゃんとこれらも現代劇でドラマの本分として、時代を刻印している(どれもそうではある為、正確には自覚的に刻印している)、つまりね、1981年は『想い出づくり。』と『北の国から』スタートで、時代の刻印っていやあ、『なんとなく、クリスタル』とかだってこの年だし、近田春夫もビブラトーンズしてるし、まあ、この時代にそんなコンシャスなシナリオライターいたんか!っていう驚きで、素晴らしいなという。

安く海外旅行行きたいって女性を入会金騙す詐欺(会場では浜村淳が立板に水のように怪しげで巧妙なトークを展開してて良い)して、騙され仲間として出会った3人が結婚までの想い出づくり、っていう終わってみてもやっぱとても脚本が綺麗だった。途中少し飽きかけたけど、結婚式状バリケードっていう一つの装置が、当然、破られる事を前提としていて、今よりもっと社会的圧力を受けていた女性が、結婚や、男尊女卑からオルタナティブを模索するなかで、学生運動よろしく解放区を作って、敗退して、結婚してその世界に内包されていくというのは帰結として当然のように思える。80年代のコンシャスライター山田太一の手腕がやはり美しい。綺麗な上に、少し外すところ、「3人が結婚する」という展開にする為に、冒頭の伏線というまでもないが、田中裕子がタイプと言っていた根津甚八似の一般人(本人が演じてる)と恋に落ちるというご都合主義ぶりには愛おしさすら感じて、あんなに渋ってた結婚へと田中裕子がカーッとなっちゃうっていう。

結局は田中裕子が超可愛くて、俺…ドキンとしちゃった。
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