さんく

五月の青春のさんくのレビュー・感想・評価

五月の青春(2021年製作のドラマ)
4.5
「光州事件」。名前は知っていたけれど、この作品を見るまでは、ここまで凄惨な出来事だとは思わなかった...。ヒテとミョンヒの2人が幸せでいればいるほど、この後の展開を予想して悲しくなってしまう、希望と絶望の狭間のような作品。

国の軍がまさか国民を無差別に撃つようなことはないだろう。そんな考えとは裏腹に、子供からお年寄りまで誰彼構わず人が倒れていく。銃を持っている軍人も、自分が何をしているかは分からず、ただ命令通り動いているだけ。目を背けたくなるほど悲惨な状況。

このドラマの素晴らしさは、光州事件を見事に再現しつつも、それに巻き込まれるそれぞれの立場からストーリーを描き続けたところ。司令官、軍人、デモの参加者、それぞれの家族。たくさんのアクターから5月に起きたこの事件を見ることで、事件の全貌が明らかになる、緻密かつ伏線回収も見事な作品でした。

そして、主演のヒテとミョンヒ。どちらにも感情移入してしまって、最終話はずっと泣いてしまった。初めの頃の楽しそうな2人をまた見返しにいこうと思います。ヒテの圧倒的な犬感がかわいい(吠えてるようにしか見えない笑)。

この作品に出会えて、こうして光州事件のことを知ることができて良かった。2人のいっときの青春を覗くことができて良かった。もっと多くの人に、1980年5月18日、韓国で何が起きたのか知ってほしいな。
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