もとまち

魔夏少女のもとまちのレビュー・感想・評価

魔夏少女(1987年製作のドラマ)
3.8
昔TBSが放映したスプラッターTV映画。こんな作品を堂々とゴールデンタイムで流していたのだから80年代ってのは全くおおらかな時代である。スプラッターと言えども派手な人体破壊は無く、基本的には血飛沫が激しく飛び散るだけ。ただ、ここぞというポイントで頭部が盛大にドカーン!と爆発するのはビックリした。民放としては十分過ぎるくらいに強烈で挑戦的。ストーリーは『キャリー』の焼き直しみたいな超能力少女モノだが、苛めっ子や高圧的な母親に対しての「復讐」という名目があったオリジナルに対し、本作の超能力は思春期の我がままで不安定な感情によって発動するものなので、罪のない人々も関係なく理不尽に巻き込まれてしまう恐ろしさがある。超能力少女を演じた小川範子の演技がとにかく素晴らしく、無邪気な存在が恐ろしいモンスターへと変貌していく様を見事に演じきっていた。正直過激な描写よりも彼女の演技力に引き込まれた所が大きい。娘を恐れるあまりノイローゼになり、正気を失ってしまう原田美枝子も良い。後半の緊迫感溢れる母と娘の関係性が面白く、ドラマとしても意外と良く出来ていた。男キャラが所構わずセクハラかましてくる腐れ野郎ばかりなのはどうかと思ったが、そういう点を含めても地上波での再放送は絶対に無理なんだろうな。
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