小麦番長

最愛の小麦番長のネタバレレビュー・内容・結末

最愛(2021年製作のドラマ)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

【視聴率主義】

久しぶりに日本のドラマ完走。

ミステリーの仕立てが甘いとか、「マルガイの所持品見つかりましたアァーあぁあ!!!」とか叫ばせて警察内をさも緊迫してる「風」に演出しながら追跡の動きがユルユルのスポスポで抜けまくりなのとかは予想の範疇なので良いとして、井浦新演じる加瀬が梨央(とその弟)をひたすら守る行動原理がドラマになってない。

弟の犯行時に“たまたま” 居合わせただけで、加瀬が「あれほど家族を思う父親を他に知らない」と父親に感情移入した設定に無理がある。
後付け感も顕著だし、親が居らず家族に飢えていたと?いう設定だとしても姉弟を守ることを決めた理由としては弱過ぎるのでは。
「たとえ法で無実になっても息子を殺人者にはしたくない」という父親の言葉に心動かされたっぽくなってたけどこれは親の心理としては別段ふつうで想像しやすいものだし、せめて加瀬に「法ではどうにもならない現実と葛藤していた」「その要因になった過去があった」などの描写をほんの一瞬でもいいから入れるべきでは??
映画なら2時間以内に入れるよ?
ドラマ、10時間もあるんだよ?

加瀬の行動を単に社の不都合の隠蔽ではなく、「最愛」というタイトルにかけた心情からの行動とするなら、加瀬にとって何が「最愛」だったのかの描写が無くちゃ。
だって、加瀬がこのドラマの最大の見せ場、ラスボスな訳でしょ?
最終話でソレを見せたかったんでしょ??
むしろ、大輝と同じように梨央に恋心を抱いたから、って設定の方がまだ納得できたのに。

吉高由里子はさして、だったけど俳優陣の演技は皆良かった。(吉高由里子が全体をチープにしてたような‥‥)
松下洸平、井浦新、田中みな実も頑張ってた。(もともと自分的には美人枠ではないけど、化粧気ないと更に地味顔に)
脚本や演出に「はて???」となるだろうに、それでも演技で「魅せる」俳優さん達は偉い。
俳優さん達の検討を讃え、ギリこの点数。

ラストで視聴者を「ポカーーン」と置いてけぼりにしても毎週の視聴率が取れればいい。それがドラマ。
諸々の“大人の事情” で一貫したストーリー仕立てに出来ないとか、映画でもあるんだろうけど特にドラマはやっぱり酷い。日本のドラマは時間かけて見るモノじゃないね。

白夜行を読み返したくなった。
小麦番長

小麦番長