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メイヤー・オブ・キングスタウン シーズン1のmorettiのレビュー・感想・評価

4.0
除雪車の事故から復活を果たした奇跡の男ジェレミー・レナーの2021年の製作・主演ドラマ。レナーのジェームズ・キャグニー顔を1000%生かした犯罪ドラマですけど…シュワとかスライとかマッドマックスとか、キルカウント稼ぐタイプの映画以外でこんなに人が死ぬ映画(ドラマだけど)なんて…ちょっと近年記憶にないくらいに人がバンバン死ぬー。50~100人くらいは死んでると思うけど、それが「Wooo!」ではなく、「Ummmm」となるヘヴィさが身上です。ヤダーそんな身上。
 
複数の刑務所を抱えてそれを中心に動いているキングスタウンという街のクライムドラマ。街のほとんどの人が刑務所の関係者。架空の町だけど実際のモデルはあるらしい。
日本にも米軍基地や自衛隊や大工場や原発や、そういうひとつの経済圏で成立している町っていっぱいあるよね。沖縄なんて本島の基地がなくなると経済があっという間に立ち行かなくなるらしいし。
 
そんな街で刑務所の中の看守や囚人や複数のギャングや警察やFBIやすべてに顔の効くクライムオールマイティ男がその街の調整役として、さまざまな利害や揉め事をあっちを立たせてこっちも立たせる的な絶対にやりたくない仕事をする。
それがわれらがレナーなんですが、つねに幾重にも悪い人たちの思惑が重なっていて、めっちゃ重い、というか、ヤバいことにしかならない予感が1分ごとに増していって、これを10話見続けるのはなかなかハードなことでしたよ。
レナーが携帯電波の届かないキャビンでクマと眺めている時とやたらと谷間を強調する仕事のできるレベッカさん(愛車は紫のフォードマスタング)の徒なまなざしが映っているとき以外は息も絶え絶えで、10話見終わってすぐに「ハートウォーミングは刑務所映画が観たい!」とショーシャンクを観始めた次第(あれも主人公二人の結末以外はなかなかハードですけど)。
 
とはいえ、アメリカの暗部を描き出します請負人のテイラー・シェリダンによる巧みな群像劇と、レナーを中心としたアンサンブル演技の数々は面白いので、それが最終話と知らずに観ていた10話の終わりで「おおお終わり?」とびっくりするくらいのスピード感で観られたことです。
「ウィンド・リバー」で悪そうな貌のエネルギー省施設の警備員に扮していた俳優さんも悪い貌でこのキングスタウンを闊歩してくれているので、飽きることはありません。SWATのイケイケ隊長は頼もしいです。
こんなに悪い貌が並んでいると観ているこちらも常に緊張しますわね。
こういうクライムものだと野郎ばっかりになってしまいがちですけど、いつも曇った顔したダイアン・ウィーストさんをはじめとした女性のキャラクターもみな豊かで印象的。不幸な生い立ちゆえに囚われまくるアイリスさんに扮するエマ・レアードはけっこう新人に近いキャリアのようですけど、超よかったね。
先述のレベッカさんとか、後半の女性刑務所でジョロウグモ的な活躍する人とかも素晴らしかった。
 
シーズン2をびくびくしながら待っています。
カイルはもう…フラグしか感じない。
 
このドラマは新しく始まったパラマウントプラスで配信、日本だとJ:COMかWOWOW経由になるようです。ちょうどWOWOWオンデマンドに加入してばっかりでしたけど、またぞろ夫婦の会話が減ってしまう…!
 
つぐみさま、お知らせいただきありがとうございました。
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