はつみ

イカゲームのはつみのレビュー・感想・評価

イカゲーム(2021年製作のドラマ)
3.8
世界的にヒットしたネットフリックオリジナル韓国ドラマ。
日本でもその認知度は高く、イカゲームを全く見たことがなかった私でも緑のジャージを見たらイカゲームを連想してしまうくらいには知っていた。

見てなかったころ周りから”カイジ”や”ライアーゲーム”などの作品っぽいということは聞いていたため、そういうドラマなんだと思いながら見た。
しかし、そうではないことが見るとわかる。
イカゲームもカイジやライアーゲームも作品内に出てくるオリジナルゲームを使って(時には命をかけた)マネーの奪い合いが話の大きな要素ではあるが”カイジ”や”ライアーゲーム”に関しては完全にゲームがメインで、そのゲームをゲームのルールのスキや視聴者(読者)が思いもよらない方法で勝利するという頭脳戦や心理戦が大きな見どころ。
そのため、一つのゲームに長く尺を取り、それ以外の部分は割とあっさりしており、すぐまた次のゲームへといくことが多いと思う。
だが、イカゲームは違う。イカゲームには6つのゲームが登場するが、どれもこれもデスゲームの醍醐味ともいうべき心理戦や頭脳戦が全くと言っていいほどない。尺も短い。
じゃあどこが見どころなのかというと、人間ドラマである。
このデスゲームに参加しなければいけないほど困窮してしまった人々のまさに命をかけた戦い。特にメインキャラクター達5~6人はあれだけ人数がいて一人一人にめちゃくちゃ尺を使ったり、丁寧に深堀しているわけではないのに共感し、いつどこでだれが脱落するかハラハラドキドキしてしまう。人間ドラマの描き方が本当にうまいと思いました。
正直、ゲームは添え物的な要素なイメージで人間ドラマ7:デスゲーム3ぐらいの割合に感じました。
ゲーム部分はカイジの人間競馬が一番近いなと感じた。
「だまるまさんころんだ」「カタヌキ」あたりは結構平等性があって好きでしたが、そのあとの「綱引き」「ビー玉遊び」「飛び石ゲーム」「イカゲーム」はちょっと微妙でした。体力勝負ゲームが多い気もしたし。

特に1話の構成は素晴らしい。
主人公ギフンのゲームに思わず参加してしまう現状と気軽に参加したと思ったら第1ゲームの「だるまさんころんだ」という子供遊びや建物や音楽のチープさやおもちゃ感にそぐわない脱落者へ容赦なく襲ってくる死のリアル感のギャップがまさに「イカゲーム」。
その「イカゲーム」というドラマをまさに1話で全て分からせる作りに脱帽しました。

2話以降も楽しくは見れましたがやはり1話のクオリティが段違いですごく好きです。

個人的にはカイジやライアーゲーム的なデスゲームの面白みを期待してしまったので、ゲーム部分をもっとと思ってしまい、2話がまるまるゲーム無しのドラマパートなのもちょっとがっかりでした。ドラマパートももちろんすごく面白いんですけどね。

特にデスゲーム以外のところで人がバタバタ死んでいくのも個人的には好きじゃない要素でした。
その許されたゲームの無法地帯だけで許されない殺人が平然と行われるのが面白いのに、もうそれ以外の寝る時間とかでもお互い殺しあったりとかがあってじゃあ、ゲームの意味とは…となってしまいました。
第5ゲームの「飛び石ゲーム」では最後時間切れで残ったガラスが爆発するのはいいが、ゲームクリアした人間に破片が飛んでしまうのはもうバグだろ、と思ってしまいましたしそれが致命傷となって参加者1人死んじゃったしほんとあれは納得できないですね。
1話の冒頭でややこしいなこのゲームと思ったオオトリの第6ゲームの「イカゲーム」も結局あのややこしいルールはなんだったんだと思うくらいただの殺し合いでの勝負になっていたし。う~む

あと、第1ゲームが終わって多数決でいったんゲーム中止になってシャバに出たのにまたイカゲームに参加するのがちょっと個人的には共感しにくかったな。
だって、あの「だるまさんころんだ」を見た後だとゲーム脱落=死というのが確定してそれを目の当たりにしたんだから、それぞれお金がないとか逮捕されるとかあるでしょうが、どう考えてもこのデスゲームに参加するより真面目に働いたり、刑務所に入る方がましに私は思いました。なので、なんでそこまで登場人物がデスゲームに参加するのが共感できなかった。他にも家族のために死んだりとか家族のために犠牲になったりとかも多い。
これは同じ韓国映画の「非常宣言」の時にも思ったが、韓国作品に共通する特徴に他人のための自己犠牲精神。日本だとそれだけで一つのキャラクターの特徴になりそうですが、韓国の国民性だなとちょっと感じる部分ではある。家族を助けるために死ぬとか、ほかの人に迷惑になるなら死ぬとか結構普通にある。

ラストで主人公のギフンが髪の毛赤く染めるの普通に似合ってないなと個人的に思ってます。黒に戻してくれい。

内部に潜入していた刑事も、結局なんかフロントマンが兄ということを突き止めただけで死んじゃったし並行で内部の仕組みとかの説明としていれてくれたんだとは思うんだけど、それにしてもそれ以上の意味があまり感じられなかったかな。


出番少なかったですがコン・ユ好きなのでそこはよかった。
特に1話のあの感じ最高です。めんこを思いっきりパーン!!ってやるプロのような動き。私もコン・ユとめんこしたあい!

あと7話の潜入刑事が給仕に変装したとき金持ち爺に「目が可愛いね。仮面を取ってくれないか?」「ここでは取れないので、二人っきりになれるところへ」と誘ったりそのあと「私を5分で天国へ連れて行ってくれ」みたいなシーンが一番好きだったかも。作品の中で最大風速でした。最高。
バナナフィッシュでも似たようなシーン合って、こういう作品の金持ち爺ってとことん下品に描かれるなぁと思った。

とまぁ、ここまでいろいろ書きましたが基本的には本当に最初から最後まで楽しくちゃんと見れたし、世界観のつくりこみや人間ドラマの描き方などはやっぱりすごくよかった。

今後をにおわせるような終わり方だったし、シーズン2も近々?公開されるようなのでまたシーズン2も出たら見たいと思うくらい本当に楽しめました。
はつみ

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