リッジスカイウォーカー

となりのチカラのリッジスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

となりのチカラ(2022年製作のドラマ)
4.0
あれ?意外と評点が低いですね。

遊川さんの作品は着眼点が毎回面白いので結構好き。

主人公チカラくんは、自分の周りの人が幸せになって欲しいと奔走する。
しかし奔走するだけで解決できるわけではない。
ただ話を聞き、寄り添ってあげる。
答えは当事者が出すしかないのだけど、この「相談に乗る」という部分は、今の時代みんなやりたがらない。

多くは人の面倒を見てる暇はないという考えだし、またおせっかいを疎ましく思う風潮があると思う。

相談に乗って関わってしまったことで、面倒に巻き込まれるのが嫌だ。そういうのもあるでしょう。


だからこそ地域社会が死んでいっているのだと思いますが、なんかこううまくバランスをとって、距離感を保って、お隣さん同士が緩く知っているくらいの支え合いができないもんかなーってよく自分は思うんですよ。


最近町内会の班長の役目が回ってきて、初めて周囲にどんな人が住んでいるのかを知る事ができました。
ちょっとした世間話もできたし、なかなか奥深い話も聞くことができました。
町内は町内でいろんな仕事があり、誰かが担うことで地域社会を保ってるんだな。そんな風に感じることもできました。

なので、これはマンションの中の話だけど、これはいろんな町内の縮図で、日本の縮図だと思う。

チカラくんほどどっぷりいくのは厳しいけど、住んでいる町に関わりを持つ、というのはちょっとずつみんなでやれたらいいなーと、ドラマを見て思いました。

また本作が良いなと思ったのは上戸彩さんの役ですね。
うだつがあがらない旦那に見かねて、出ていきます!の回はハッとさせられました。

大事しなきゃいけない家族と向き合わず、他人にばかり気が入ってしまうチカラくんに対して、ちゃんとフォーカスを当ててくれた脚本はお見事です。


恐怖というのは知らないから生まれる感情と、何かの本で読んだことがあります。
なので恐怖を消すには、恐怖の対象を知ることが一番の近道であり、力づくで排除することではない。

最後の話を見て思い出しました。


人は一人で生きているのではなく、間接的な関わりがあって成り立っている。


その根底があることを忘れずに、人と接していきたい。

※カフェからマンションの各部屋を見るシーンはヒッチコックの裏窓を思い起こさせ、ニヤニヤしちゃいました😁