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神木隆之介の撮休のRickのレビュー・感想・評価

神木隆之介の撮休(2022年製作のドラマ)
4.2
 総じて、「撮休」シリーズは非常に面白い試みだと思う。有名でパブリックイメージも確立している役者の「素の部分」を題材に、いろんな監督や脚本家がフィクションを作るというのだから。そして、さまざまなメタ的な入れ子構造の上に成り立っているこの企画を神木隆之介はどのように演じるのか。
 結論から言うと、『有村架純の撮休』の時とは異なり、どれだけ避けようとしたり相対化しようとしたりしても、巨大な「神木くん像」に最終的に取り込まれてしまったと言う印象が強い。「国民の子供」(今から思うと何じゃそりゃ)であり、優しく理知的、オタクの部分も兼ね備え、友達同士ならばふざける時だってある、老若男女問わず誰もが好きになってしまうような素敵な人。意図してかどうかはわからないが、制作陣は一丸となってそこのゴールに向かう。たとえファンであっても、世間一般の人は神木隆之介の「表の顔」しかわからない。何を考えて、何に悩んでいるのか知る由もないけれど、やっぱり神木くんは最高だなと思わせられてしまうから困ったものだ。
 ファンタジックな演出が多めの作品もあるが、3話の「国民の子供」としての神木くん回「捨てる神あらば」と、5話のスターでありながらオタクである神木くん回「ファン」、7話の人から好かれるあまりに変な人間関係の拗れ方をする「友達の彼女」がお気に入り。
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