Rickさんの映画レビュー・感想・評価

Rick

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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

 どれだけ夜に想いを馳せたことがあるだろうか。その静寂を、その暗闇を、微かに灯る道標を、人はどのくらい知っているだろうか。明るい場所にいることを求めてしまう人の方が多いかもしれない。落ち込んだところに>>続きを読む

かがみの孤城(2022年製作の映画)

3.9

 人は皆、自分の居場所を探して生きている。そんなものが、存在するかもわからないけれども。いろいろな世界に触れていくうちに、居心地が良いところもあれば、なんだか合わないな、いるだけで疲れるなというところ>>続きを読む

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)

3.8

 人は最初に触れたガンダムのことを親だと思ってついて行くということは、よく知られた真実である。しかし長い年月が経って成人する頃にもなると、親のおや?と思う部分も見えてきてしまう。結論から言おう、親に久>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

 生まれ落ちた瞬間には何も知らない哀れなるものたちよ。汝、全てを体験せよ。喜びも悦びも、裏切りも信頼も、痛みも暴力も、怒りも失望も、知も優しさも、全てその身で経験せよ。懇切丁寧に「正解」や「世界」を教>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.7

 アイヌの埋蔵金、網走監獄の囚人たち、刺青人皮、老いた武士、熊、狼、血飛沫、不死身の男、そしてもひとつ熊。陰謀と狂気が渦巻くワクワクが止まらないハイテンション和製ウェスタンの金字塔が原作とあらば、その>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.4

 子どもの世界には、もちろん楽しいことも溢れている。美味しいものを食べたり、友達と遊んだり、家族と触れ合ったり。でもそれと同じくらい厳しい側面も目撃して、その度きちんと考えて、学んでいる。生きることと>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.6

 ナポレオンと聞いて、思い浮かべるのは馬に乗り高く手を掲げアルプスを越えんとする勇ましい姿か。それとも、なんとも言えない面持ちで書斎に佇む男の姿であろうか。不可能の文字など存在しないかのように振る舞う>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

5.0

 搾取する者たちが語る美談が席巻する中で、踏み躙られた者、奪われた者、虐げられた者たちの魂や物語は蓋をされ、なかったことにされてしまう。その「弱きものたち」を語り継ぎ、忘れないようにするための抵抗の手>>続きを読む

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

3.5

 某-1.0と比較するために見なければと思ったという不純極まりない態度で臨む、ゴジラ。やっぱり同じ金子修介監督だけあって、どこか平成ガメラを彷彿とさせるところもある。こちとら平成ガメラで大きくなってし>>続きを読む

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)

4.0

 カジモド以上に強烈な印象を残すフロロー。ただただ気持ち悪いのだが、妙に生々しく嫌悪感を抱かせる。禁欲的で非人間的で公正な外面を持ちながらも、その内実は嫉妬心と情欲の地獄の業火を燃えたぎらせるただのオ>>続きを読む

駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

4.9

 仕事を始める特に、昔からの「夢」ややりたかったこと度直球のことをできる人はどのくらいいるのだろうか。でも世の中には「好きを仕事に」や、長年の夢を違わずに持ち続け成就させることを無闇に称揚する空気感が>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.2

 人は皆何かの役を演じている。取り繕って、嘘ついて、何かを諦めて、無かった事にして。そんな無かったことにされた人たち、ものたちでさえ、カメラの前では皆平等に顕になってしまう。誤魔化しや偽善に疲れ切った>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.2

 2016年にゴジラ(1954)の現代的リメイクとしての「正解」を出されてしまった以上、現代ではなく過去を、それも戦後直後を舞台にしたことは慧眼であった。自衛隊がまだ存在せず、碌な武装も持たない中で、>>続きを読む

黄龍の村(2021年製作の映画)

3.7

 因習村ものかと思いきや、こっち方向かなと思いきや、あっち方向だったと言う60分のコンパクトなホラーコメディ...?他所は他所、うちはうちで殺されるのも本当に嫌で仕方がないが、にしてもこの監督、死が軽>>続きを読む

A.I.(2001年製作の映画)

3.6

 愛されるために生まれた「永遠の子ども」は、他でもない母親からの愛を求めて彷徨い続ける。ほんものの人間の子どもになれるよう祈り続ける。忠告してくれる良心のクマをお供に、危険なサーカスへ、大人の街へ、そ>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

4.8

 「知っている」ということと、「わかっている」ということは同じようで、その実は全く異なる。こんな経歴がある、こんなことを経験したという、その人の客観的な履歴を知っているからと言って、何をどう感じている>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.7

 映画とは、なんと罪深いものか。人を楽しませ、人を感動させ、時には怒らせ、魂を浄化させ、傷つけ、癒し、勇気づける。映画の魔力は底知れず、観る人だけでなく、撮る人をも飲み込み、一生涯くくりつけてしまう。>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.4

 いやはや最高の青春映画じゃないか。人はめっちゃ死ぬし、意味わからんくらい強い奴でもてくるけど。高校から社会に出て、守ってくれる存在がなくなった時に、新たな場所にどうコミットしていくのか。殺しは日常で>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.5

 変化と成長とは、必ずしもイコールではない。だからと言って変化が全て悪いわけでもない。けれども身勝手なもので、変わる前と変わった後を天秤に掛け、やれ昔はよかった、今は昔ほど輝いていないなどと思ったり、>>続きを読む

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.3

 青春の、恋の、人間の痛々しさを描かせたら、本当に嫌な痛々しさを描く岡田麿里の最新作だが、必ずしも岡田麿里の作劇やニュアンスが好きでもないので、今回も不安だったが、結果的にも好みではなかった。ただある>>続きを読む

水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

3.9

 水は海に向かって流れる。そんな疑いようもないただの真実のように、時間は過ぎて行き、最終的にものごとは収まるところへ収まるものだ。けれども、それで全て納得しろというのも難しいことだってある。親の不倫と>>続きを読む

こちら放送室よりトム少佐へ(2020年製作の映画)

4.2

 管制室からトム少佐へ。昼間の地球と夜の宇宙を彷徨う2人の、声を介したささやかな秘密の交流を10分という短い時間に詰め込んだ青春作品。キャラクター設定が驚くほどステレオタイプで陳腐ではあるが、その見せ>>続きを読む

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

3.8

 叛逆の物語。世界という「システム」への叛逆。自己犠牲を是とする秩序への叛逆。どこまでも優しくてあまりにも繊細すぎる人たちへの叛逆。テレビシリーズである意味丸く終わったにも拘わらず、それをひっくり返す>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.3

 「女の子用のおもちゃ」といえば赤ちゃんの人形くらいしか無かった頃に、突如現れたバービー人形は決定的に全てを変えた。どんな職業にも就けるし、何にだってなれると。しかしそれから時代は下り、価値観も移ろい>>続きを読む

ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

4.4

 幾つになったって、どんな社会階層にいたって、着たいものがあるならば着ればいい。そんな現代的な価値観のもとでは、ミセス・ハリスの覚悟や行動力は捉えきれないのかもしれない。1957年に通いの家政婦である>>続きを読む

特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト(2023年製作の映画)

4.2

 新部長、黄前久美子の初仕事。なかなか他者に踏み込むことがなかった人であったとしても、役職を割り振られたからには変わらざるを得ない。利害関係の調整、うまく行っていない人のフォロー、気配り心配り。吹奏楽>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

4.8

 自分の為したことに自信を持てなかったり、自分の不甲斐なさに涙したり。自意識と呼ばれるものに翻弄されることなんて、案外どれだけ歳を重ねようともそんなに変わらないんじゃないだろうか。その経験があるから今>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.9

 今ここで終わる物語と、これからどこかで始まる物語は、本質的には無関係なものであろう。たとえ前の物語から何かを得たとしても、全てはいつか忘れてしまって、次の物語には何も残らないのかもしれない。でも、そ>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.7

 我々は過去のロマンに縛られている。あの時の興奮やあの時の冒険に今もまだ固執している。でも時代は流れる。自然と歳をとっていく。体は思うようには動かず、いろんな悲しみも知って、心も昔みたいに無鉄砲ではい>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.6

 見届けようぜ。歴史に残らなかった人たちの迎えた結末を。聞き届けようぜ。歴史の波に埋もれてしまった人々の声を。共に歌おうぜ。彼らがここにいたことを。そして我々が今ここに生きていることを。
 申学能の名
>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.8

 「スパイダーマン」たちの避けられない運命。肉親の死、愛する人の死、愛する人が愛する人の死、そして圧倒的な孤独。その悲しみをうちに秘め、マスクで顔を隠し、冗談めかしたお喋りで以て街の平和を守る。それが>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.3

 上手くいっていたはずなのに、少しずつ狂っていくリズム、テンポ、歯車。もちろん厳しさはあったかもしれない、でも悪いことはしていないはず。私情を挟んだつもりはない、努力もしてきたはずなのに。そんな焦りと>>続きを読む

マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

4.4

 ことばは、人のアイデンティティと分かち難く結びついている。自分が何語を話し、何語で考えているのかは、意識しようが無意識だろうが、存外自分自身の帰属意識を形成している。ことばを奪われることは、即ち自ら>>続きを読む

ゆるキャン△(2022年製作の映画)

4.1

 学生時代にできない事は、たくさんある。欲しいものは小遣いの範囲でちょっとずつ、行ける場所も、そこまでの足がないから限られる。県外に行くのも大冒険だ。その分、自分で仕事をしてお金を稼ぐようになると、ぐ>>続きを読む

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