Solo1968

拾われた男のSolo1968のレビュー・感想・評価

拾われた男(2022年製作のドラマ)
3.9
 原作の作者すなわちご本人である○松尾諭さん、そして彼を演じる○仲野太賀さん どちらも一気に好きになった。
 
 仲野さんに関しては少し前にこちらもドラマ作品「季節のない街」でのお仕事で初めてまともに彼の仕事を見て 途端にその凄さにファンになった。

 本作もうっすらと似たようなコメディータッチの作風でありつつもしっかりとマジに感動に持っていくのは脚本だけでなく彼をはじめとしたキャストの魅力であり、キャスティングのセンスも大切な要素だと思えた。
 劇中で主人公が数年勤めるTSUTAYAにおける先輩同僚は手放しに全員素敵な人達で、ドラマとして過大な表現こそあれど、
いるいる!!こういう人絶対居るわー、、とバイト先のシーンが(結果的には)一番夢中になったのも主演の仲野さんはじめとした共演者の人達の絶妙な絡みが抜群だった。

 そして、毎回オープニングでご本人がご本人役で登場し、ドラマに導入するが、回を重ねるごとに主人公すなわちご本人へのシンパシーが高まり、いつのまにかこの短いシーンも楽しみの一つとなっていた。
 大変失礼だが、松尾諭さんはもちろん様々な作品で見てきた方で、顔を見れば分かる!という形だが、名前は存じていなかった。
作品を見進めるうちに松尾さんの主演作品をを調べるなどをして、すっかり松尾さんの事も大のお気に入りになってしまった。

 ストーリーは作品解説なり沢山の方々のレビューがあるので、割愛するが、大きく分けて個人的には

○上京から結婚に至るまでの
 日本編
○兄との再会で渡米からの展開の
 アメリカ編
と分別した。

人それぞれの好みや、琴線に触れるポイントは異なるが僕は何と言っても 日本編が好きで、極端に言ってしまうと ドラマとしての大きく動くアメリカ編は、様々な理由で 少し疲れてしまったというのが率直な感想。

 日本編における登場人物のセリフやテンポはとても心地よくそして面白い。何度見ても笑えて、時にほろ苦い。心地よいもの。

 後半のアメリカ編では
草彅剛さんという兄役がどうも今ひとつイメージと異なること、もちろん必死に練習されたことはわかるが 聞いていて何故か不快になる英語のセリフ(←アメリカ編は9割ちゃんと?英語での会話で進行する)が中学生の棒読みな感じでとても疲れる事に加えて
登場する外国人キャストが、どうにも国内編に比べて 大変失礼だが、お粗末なキャスティング?というか、外国人なのにセリフがこれも棒読み感というか?バラエティー番組の再現映像に出てくるようなB級在日欧米人感満載で、ネイティブなのにセリフがカタカナ英語感みたいで、とにかく作品が一気にお粗末になってしまい、ドラマとしてその後の感動の核となる重要な展開ではあるが、これらで萎えてしまった。途中から見ながら愛想笑いをしている自分も嫌になったほど。

上記のアメリカ編をのぞき
国内編で出てくる人物で 数名が行う 泣く演技がいくつかあるが、これが どなたも恐るべき演技力で、コメディーの作品なのに一気にシリアスというか、感動というか、その世界に引き摺り込まれるほどで、皆さん凄いなぁと感心させられた。


詳しくもなく特に好きでもないが、どこかしらクドカンの世界観があるようだが、彼特有のクセというかお約束の要素を抜いたようなマニアなネタをしらなくとも充分楽しめる 作品。

 
松尾さんがひょんな事から大物タレント 女優?さんの運転手として深く関わる事など、実話としてもご本人には凄い展開であり、もちろんそれだけでなく、作品では描かれてはいない 見えない努力も間違いなく存在していただろうし、色んな運命、出会いで 大物役者さんと関わったり大きな仕事を手に入れる事が 面白おかしく描かれているが、きっと僕と同じような感想を持っているひとも多いと思うが、あえて言うならば
TSUTAYA時代の先輩や仲間や後輩の存在こそが彼の運命を良い方向に導いたんじゃないかなと思う。


追記
こちらのレビューというかお粗末な感想を書いてしばらくしたある日に いきなり閃いたので忘れずに追記する事にした。

草彅剛さんが別に嫌いなわけでもなく、妙な偏見も無いが、やはりどうにも彼があまり、フィットしない事が後半の個人的な退屈さを増した原因だというのは間違いない。で、じゃあ、誰が演じたらよかったのかというのが閃いた。

佐々木蔵之介さんだ!

彼が演じていたら自己評価も満点になっていたと昨日突然思いついた。
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